中国外交部(外務省)領事保護センターは21日、公式微博(ウェイボー)上で、一通の書信を受け取ったことを明らかにし、その書信には、ある中国人観光客が、ラオスから帰国する際、ラオス口岸(出入国検査場)の空港審査官から「チップ」を強要されたとしたためられていたという。北京青年報が伝えた。
書信によると、この観光客は、上海、蘇州、常州各地から出発、無錫を経由してラオスを訪れる一行30人のツアーに参加、2月26日に常州空港から空路でラオスを訪れ、3月5日まで8日間、ラオスを旅行したという。
ツアー最終日、ラオス・ヴィエンチャンにあるワットタイ国際空港から帰国の途に就くため出入国検査場に向かったとき、ほとんどのツアー客が空港係員に「チップ」を強要されたという。係員は、出国手続を終えると、手に持った観光客のパスポートを本人に返さず、中国語で「チップ50、50」と繰り返しつぶやいた。その観光客が「小銭を持ち合わせていない」というと、係員は「100、100」と答えたという。やむを得ず、この観光客は、傍にいた蘇州からツアーに参加した夫婦とともに、それぞれ100元(約1714円)ずつ係員に渡して、ようやくパスポートを返してもらった。その後、この観光客は、ラオス入国時にはツアーガイドがツアー参加者全員分の「チップ」を渡していたことを知ったという。
この観光客は、帰国後、外交部に書信を送り、国家が中国国民の利益を守るため、外交部を通じてラオスに正式に抗議するよう求めた。
外交部領事司からの返信によると、この件に関してはすでにラオスに事実確認を行い、ラオス側に中国側の立場とこの件に関心を抱いていることを伝えたという。また、返信では、観光客に対して今後、外国の出入国検査場で「チップ」を求められるような状況に遭った場合は、冷静に対応し、決して妥協せず、必要ならば現地駐在中国大使館に連絡を取り、実際の行動をもって、自身の利益と中国国民が保つべき尊厳を守るようにとアドバイスしている。
ここ数年、中国人がアジア・アフリカ地域の一部国家の出入国検査場を通過する際に、現地係員にチップを強要されるというトラブルがたびたび生じている。中国外交部は、これについて、「外国の空港審査官が中国人にチップを強要するという違法行為に対して、断固反対する」という明確な姿勢を示しており、同時に、一部の中国人がチップを払うことで通関時に便宜を図ってもらうという不当な行為についても徹底的に反対している。外交部と関連国家の中国大使館は、今後も引き続き、外交ルートを通じて、関連国家に中国側の立場を厳粛に表明し、「チップ問題」を重視するよう促していく構え。
複数の部門による努力の結果、ベトナムやカンボジアでは、出入国検査場に監督管理ホットライン電話が開通、中国語による警告も掲示されている。だが、法執行環境や国家管理レベルが国によってまちまちであることから、一部の国の出入国検査場の係員が観光客にチップを要求する現象は、なかなか根絶されないのが現状だ。外交部領事司は、中国人観光客に対し、「チップの根絶のためには、政府側の努力だけでなく、中国人観光客も一緒になって努力することが必要だ。中国人観光客は、外国での出入国手続の際に、現地の公務員にチップを要求される場面に遭った場合、まずは自分の身の安全に影響が及ばないことを確認した上で、チップの支払いをきっぱり拒絶し、その後の権利保護のために、必要と思われる証拠は残してくこと。もし、ツアーガイドが『スピーディな通関』という建前でチップを払うよう言って来た場合も、きっぱりと拒絶してほしい」とアドバイスしている。(編集KM)
「人民網日本語版」2018年4月23日
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