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安倍氏が日中友好を強調する理由

人民網日本語版 2018年01月26日09:02

日本の安倍首相は22日、国会での施政方針演説で、日中関係について「大局的な観点から、安定した友好関係を発展させる」と高らかに表明し、首脳間の相互訪問を呼びかけた。「一帯一路」についても「協力を繰り広げ、アジアのインフラ需要を満たす」と表明した。昨年後半以来、安倍氏は様々な場で日中関係の発展推進に意欲を示し、「日中関係を新たな高みへ引き上げる」必要性を表明している。(文:王泰平・中国国際問題研究基金会研究員。北京日報掲載)

2012年に政権に返り咲いて以来、一貫して「中国の脅威」を口にし、至る所で中国と張り合ってきた安倍氏が、なぜ一変して友好を強調し始め、別人のようになったのかと、人々は疑問を禁じ得ない。

実は、これは不思議な事ではない。安倍氏は現実主義者だからだ。国際情勢が深く変化し、中国が平和的に台頭する中、東アジアにおける日本の戦略選択は現在極めて重要な十字路に立っている。安倍氏は日本政治をつかさどる者として、現実に向き合い、様々な要因を総合し、比較的穏健で実務的な姿勢及び現実的で柔軟なやり方を取らざるを得ない。

まず、安倍氏が最も信頼し重んじる日米同盟は彼の期待通りには発展していない。トランプ氏の大統領就任もアジア歴訪も、日本が重点でないのは明らかと見え、安倍氏及び日本のエリート達を大いに失望させた。

トランプ氏は米国第一、経済優先を堅持し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱し、日本に武器・装備購入を無理強いし、日本市場開放を強要し、貿易赤字を解消し、安倍氏に大きな圧力を加えている。トランプ氏は安倍氏の提唱する「インド太平洋戦略」に余り関心を示さず、後押ししていない。

トランプ氏就任後の中米関係は日本の本来の予想と違った。2017年4月の中米首脳会談後、中米関係は平穏な過渡を実現し、戦略的安定へ向かっている。速やかに対中関係を調整しなければ、中米日三角関係の中で捨てられる可能性が高いと日本は懸念している。

また、「一帯一路」(the Belt and Road)の問題において、安倍氏は米国が日本に先行することを恐れ、中米が日本の利益を損なう妥協にいたることをさらに恐れている。したがって安倍氏にとって中日関係の調整は、中米関係が良好に発展する中での受動的な選択だ。これが安倍氏にとって転向動機の1つとなった。

数年来、安倍氏は近隣外交で突破口を開くことを求め、ロシアと韓国に対して十分な準備をしたが、望み通りには事が運ばなかった。朝鮮半島情勢は変化が目まぐるしく、日本は中国の力添えを必要としている。

安倍氏にとって政策調整のもう1つの動機は内政上の必要だ。対中関係の改善は安倍政権の安定に関わる。安倍氏は2018年9月に3回目の自民党総裁選に出馬し、2018年12月には衆議院議員の任期も満了する。安倍氏は2020年の新憲法施行を計画しているため、2018年後半の衆院選と憲法改正に関する国民投票の同時実施を議論しており、安倍長期政権に影響する出来事が相次ぐこととなる。対中関係はこの政局と密接に関係している。二階俊博幹事長の腹心は「憲法9条を改正したいのなら、中国を始めとする近隣各国の抗議を抑えることが重要だ」とする。

日本経済は表面的には回復し、税収、雇用、株価はいずれも好転しているが、アナリストはこれらは全て安倍政権による大量の国債発行によるものだと指摘する。日銀による大規模な金融緩和と財政刺激を基礎とする「アベノミクス」には、すでに継続困難の兆しがはっきりと生じている。内政面で政治的業績を欠く中、外交面でポイントを稼ごうとしているのだ。

中国は悲観的論調と相反して、政治的に安定し、改革を全面的に推し進め、偉大な民族復興の歩みを加速している。「一帯一路」イニシアティブは広く歓迎され、期待され、呼応国、参加国が増え、次々にプロジェクトを立ち上げ、すでに早期収穫を得て、あまねく有望視されている。安倍氏は現実と向き合わざるを得ず、財界は一層前向きになっている。日本側の予測では、2016~2030年の「一帯一路」沿線のインフラ整備需要は26兆ドル前後になる。これに積極的に参加しなければ、日本は脇に追いやられる危険がある。安倍氏にとっては、これに便乗することのみが、日本の利益を確保する最良の選択なのだ。(編集NA)

「人民網日本語版」2018年1月26日

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