不動産賃貸料の値上がりと激しい競争がヨーカ堂の北京市場からの敗走の原因と考えられる。中購聯ショッピングセンター発展委員会の郭増利委員長は、「伊藤ヨーカ堂の成都市場と北京市場への進出に時間的な開きはそれほどないが、両地域のビジネス発展状況の水準は同じではなかった。成都では市場をリードするチャンスを明らかにつかみ、店舗の立地選定でも地理的な優位性を備えることができた。一方、北京市場では、ライバルの隙間を縫う形で立地を選定しなければならなかった。北京はビジネス上のライバルが相対的に強く、大きく、そして多い。運営チームをみると、伊藤ヨーカ堂中国事業部長の三枝富博氏が率いる成都チームは北京市場の管理チームより専門性が高く、資源の調達配分でもより優れていた。このことがヨーカ堂の成都地域での長年にわたるトップ企業としての地位固めにつながった」と述べた。
注視されるのは、このたびのヨーカ堂のEC事業は成都市だけで開設されるということで、北京の店舗はまだECプラットフォームに接続していない。郭委員長によると、「ヨーカ堂が成都市で積み上げたフロー資源はEC方面での新たな展開を十分に支えることができ、オンラインルートを増やすことで大勢の会員により多くのサービスと選択肢を提供することになる。北京の店舗はフローの窓口が非常に小さく、会員数も少なく、EC発展の基礎となる原動力が備わっていない」という。
▽B2Cモデルの成否を論じるのは難しい
バージョンアップ後の伊藤ECの業務では、従来のスーパーで用いられてきたB2C(企業・一般消費者間取引)のモデルが採用された。伊藤EC微信商城が提供するサービスをみると、Cにあたる消費者には「当日配達」や「翌日配達」といったサービスを提供するとしており、これは新たにネットスーパー市場に進出した新小売の生鮮スーパーの多くが3キロメートル圏内なら30分以内に配達するサービスを提供しているのに比べ、やや遅い感じがする。
中国社会科学院財経戦略研究院インターネット経済研究室の李勇堅室長は、「従来の小売企業はECに対する反応が遅すぎて、ECの育成期を見逃してしまった。現在のネット小売市場はすでにいくつかの総合型ECプラットフォームに独占されており、自前でEC環境を構築すればトラフィック獲得コストが高くつき、開拓できる市場空間にはおのずと限界がある」との見方を示す。
郭委員長は、「従来のスーパーにとってECはサービスや機能の延長であり、目的は販売ルートを増やすことで、従来のスーパーの収益モデルに取って代わる新たなルートを構築することではない。オンラインとオフラインの両ルートは従来のスーパーにとってサービス提供の2つの足場だ。従来のスーパーが限定された都市内でのEC業務に没頭することのデメリットは明らかであり、将来のオンライン業務の努力の方向性は自社製品で品揃えを差別化して優位性を獲得することが中心になり、また実店舗へのサービス拡大に集中するになる」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年1月12日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn