ここ十年、中国のテーマパークは急激な発展を遂げており、力強い成長を見せている。統計によると、現時点で中国には2500ヶ所以上のテーマパークがあり、中でも5000万元(約8億5000万円)以上を投資したテーマパークは約300ヶ所もあるという。テーマパーク産業の見通しが明るく、中国がテーマパーク分野において世界最大の市場になる可能性もある。一方で品質の向上やコンテンツのイノベーションに力を尽くす必要があるともいえる。
▽世界最大のテーマパーク市場目前の中国
このほど、多くの権威ある機構が、「世界のテーマパーク市場の成長が緩やかになっている一方、中国のテーマパーク市場は巻き返し、多くの企業が世界のトップ10に入った。2020年には、観光客の数は米国を追い抜き、世界1位となるだろう」と予測した。
ユーロモニターが発表した「世界観光市場全国趨勢報告」によると、2020年には、中国でのテーマパークの売り上げは120億元(約2040億円)に上り、一年あたりの観光客数が日本と米国を超える3億3000万人となり、世界最大のテーマパーク市場になる見込みだ。
中国のテーマパーク業界は1980年代終わりから発展し始め、今は経済と社会に重要な役割を果たしている。まず、テーマパークへの投資は中国経済を大きくけん引している。次に、テーマパークは中国文化を伝承するための重要な手段となっている。最後に全世界でテーマパークをめぐる激しい競争が起きている。
▽均一化の問題を抱える自国ブランド
長年の発展を経て、中国ブランドのテーマパークは頭角を現し始めているが、多くの問題を抱えているのが現状だ。
第一に、全体的なデザインと計画性が欠けており、均一化した中での競争が際立っている。国際的な大型テーマパークに比べ、国内のテーマパークの開発事業者は依然として客数の増加に注意を奪われ、売上やアトラクション、飲食及び、体験型の商品の付加価値の向上をおろそかにしている。
第二に、一部のテーマパークは文化潜在力の発掘や、文化との融合において、まだ力不足だといえる。海外のテーマパークは観光と文化を融合させ発展しているのに対し、多くの国内のテーマパークでは文化的なテーマは目立たず、メディアや映画、テレビ、アニメ、ゲームなどの産業とも緊密に関わらず、中国の優れた伝統文化への発掘も足りていない。
第三に、グローバルな運営能力を向上させる必要がある。世界のトップクラスのテーマパークはいずれもグローバル化を選択している。例えばディズニーは、米国のほかにも、日本や中国の上海にも進出している。中国では現在、華強方特(FANTAWILD)だけはイランで海外プロジェクトを展開しているものの、その経営権も現地企業にあるという。
第四に、営業中の大部分のテーマパークは「資金難、経営難、イノベーションの課題」という問題を抱えている。テーマパーク業界は経験、知的財産権、特許の蓄積のほかに、資金面での支援もさらに必要としている。しかし、現在の国内のテーマパークは蓄積も足りず、資金面でも悩んでいる。これによって、国民の消費ニーズを満たすことができずにいる。
最後に人材不足と中・高級施設の少なさという問題がある。超大型テーマパークの低級施設や中小規模のテーマパークの施設は中国製だが、それ以外の中・高級施設、特に高い技術が要求される施設は、ほとんど海外から輸入してきたものだ。資本と人材が主導するテーマパーク経済は今、運営人材と文化イノベーション人材が最も不足している。
▽全体的な発展計画を立て、テーマパークの健全な発展を推進
テーマパークは中国経済のモデルチェンジや都市化プロセスの発展において、ますます重要な役割を果たしていくだろう。専門家は、発展の中で出てきた問題をすぐに解決し、中国独自の発展計画を立て、テーマパークの健全な発展を指導・推進するべきだと指摘している。
第一に、業界の発展を規範化する必要がある。「住むのにも遊びにも適している」という新型都市の建設、文化の供給側の構造改革などの面において、テーマパークの積極的な役割を把握し、土地開発・利用の基準を定めることにより、テーマパークがお金を儲けるためだけの存在になることを防ぐ。
第二に、中・長期的な計画を立てることだ。多方面で協力してテーマパークの発展計画を制作し、産業の位置づけ、戦略目標、発展の方向性を明確にする。同時に、同産業を研究するプラットフォームを構築し、業界全体の運営水準を高め、持続可能な発展を推進する。
第三に、自国文化への自信を強め、文化による発展を導くことだ。優れた文化の深い内容を表現し、核心的な価値とブランドを伝播することにより、観光客がレジャーと中国社会主義の核心的価値観を認めるように導く。
第四に、中国のテーマパークブランドの総合的発展を支持することだ。国内のテーマパークブランドを積極的に支持し、国際的な大手企業に対抗できるリーダー企業を育成し、国内企業に外資系企業と同じような優遇政策を提供する。さらに、テーマパークによる科学技術・文化・建設の水準の向上を奨励し、金融面での支持、調整政策の精確性を高める。(編集HQ)
「人民網日本語版」2017年11月16日
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