世界的に有名な科学誌「ネイチャー」はこのほど、第三軍医大学が担当した独創的な研究成果を掲載した。この研究により新たな「CD8+T細胞」の亜種が見つかり、そのウイルス複製を抑えるメカニズムが明らかになった。この発見は慢性ウイルス感染症の免疫の重要部分への理解を深め、HIVやB型肝炎などの慢性ウイルス感染症の根本的な治療に新たな可能性をもたらした。京華時報が伝えた。
同研究論文の責任著者、第三軍医大学の葉麗林教授は「これまでの研究により、急性ウイルス感染において、特異的CD8+T細胞がウイルス感染した細胞を死滅させ、抗ウイルス細胞ファクターを分泌することで、ウイルスを効果的に除去することが明らかにされていた。しかし慢性ウイルス感染の過程において、同細胞は医学会で機能喪失と呼ばれる現象を示している」と説明した。
その際のCD8+T細胞は、ウイルス除去の機能をほぼ喪失しているとされていた。しかし研究によると、慢性ウイルスの感染の過程においてこのような喪失が見られるが、ウイルスは依然として低い水準を維持し、短時間内に蔓延しない。そのためCD8+T細胞が機能を喪失したという観点には説得力がない。
研究チームは最終的に、「機能喪失」したCD8+T細胞が依然として一定の抗ウイルス機能を持ち、ウイルスの複製を強く抑制することを発見した。その過程においてはCD8+T細胞の新たな亜種が重要な力を発揮していたのだ。チームはこれを「CXCR5陽性CD8+T細胞」と呼んでいる。また、チームは今回の研究の中で、「Id2/E2A信号軸」がこの細胞亜種の生成を調節する重要なファクターであると断定した。
現在、HIV、B型肝炎、腫瘍などの慢性ウイルス感染による疾患を治療する上で、化学薬品がウイルス複製をある程度抑制するだけで、根本的な治療には至っていない。葉氏は「一定の手段により、この種類のCD8+T細胞を増加・安定させることで、ウイルス除去の機能を強化できる。これらの疾患の根本的な治療に、新たな可能性をもたらす」と話した。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年8月8日
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