上海自由貿易区設立の意義は「刷新」と「構築」にあり
中国(上海)自由貿易区が9月29日に発足した。振り返ると、7月3日に国務院常務会議が「中国(上海)自由貿易試験区総合プラン」を原則として可決してから9月末の正式発足までのペースは相当速く、ここから中国の指導者層が改革開放の深化と中国経済のモデル転換・発展の加速に対して抱く固い決意と緊迫感をかぎ取ることができる。中国初の国際的な意義をもった自由区として、上海自由貿易区には重大な戦略的意義があり、中国の国際貿易や金融の改革が世界的な局面に順応し、国際的ルールに合致する上での先行的なテスト区であるだけでなく、改革開放が地盤を固める時期に突入して取られる全局的な意義をもった重大な改革措置でもあり、その核心は制度システムや法律システムのイノベーションを通じて、改革開放が縦方向に発展することを推進し、中国経済がモデル転換とバージョンアップを実現するよう促進することにある。「国際金融報」が伝えた。(文:林仕堯・南京大学法学院党委員会副書記)
ここ数年来、中国経済は高度成長を維持したが、ますます多くの問題が発生し、ますます多くの課題に直面するようになっている。特に金融危機発生後、中国の外向型経済は深刻な打撃を受け、輸出が急速に減少。また中国経済に存在する体制的な矛盾や構造的な矛盾が一層目立つようになった。さらにエネルギー消費が多く、汚染度が高く、汚染物質の排出量が大きい経済成長モデルが、中国経済の構造転換やグレードアップをさらに難しくしている。経済規模は世界2位になったが、経済発展の質と世界的な競争力では、1位の米国と相当な開きがある。こうした情況の下で上海自由貿易区を建設することは、金融貿易の体制・メカニズムにおいて既存の枠組をうち破り、グローバル経済貿易発展の新しい流れに主体的に順応する上でプラスになり、また新たな経済成長の動力を育成し、新たな経済発展のプラットフォームを構築する上でもプラスになり、そこに含まれる「刷新」と「構築」の意義は明らかだ。
中国はこれまで全方位的に開放された経済発展局面を構築してきた。1979年に「深セン経済特区」を設置し、1984年に沿海開放都市を制定し、2001年には世界貿易機関(WTO)に加盟し、そして今回は上海自由貿易区を建築した。ここから中国の特色を備えた社会主義市場経済体制の改革、刷新、改善の跡がうかがえる。改革開放がスタートしてからの30数年間に模索され、蓄積された経済的基盤や制度・システムは、中国経済のモデル転換・バージョンアップに制度的な保障と強い支援を提供するものであり、中国が深層レベルでの経済変革を一層深め、模索するための条件作りをするものでもあるといえる。