上海自由貿易試験区は新たな改革開放のテストケース
中国(上海)自由貿易試験区が29日、プレートの除幕を行った。これにより各方面の注目を集め、熱い議論が繰り広げられてきた同試験区は、実際に運営を行う段階に到達した。これに先立ち、国務院は「中国(上海)自由貿易試験区全体プラン」を公布し、上海市の外高橋保税区をはじめとする税関特殊監督管理区4カ所の計28.78平方キロメートルの土地に、大陸部初の自由貿易試験区を建設することを明らかにしていた。(文:石建◆、人民日報海外版特約評論員、同済大学財経・証券市場研究所所長、同大経済・管理学院教授)
同試験区の建設は、国が新たな改革開放と発展を始動させる上での重要な戦略的措置だ。現在、世界の経済環境は非常に複雑な変化を遂げつつあり、世界貿易機関(WTO)のドーハラウンドが膠着状態に陥った後には、二国間貿易協定や地域貿易協定が強化され、特に米国が推進する環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)と環太平洋経済連携協定(TPP)が中国にとって新たな課題となり新たな圧力となっている。これと同時に発展途上国の外貨を利用した競争が激化し、一連の国でコスト要素の優位性が徐々に顕在化する一方、中国は優位性が低下し、資本の外部移転が始まっている。
国内をみると、経済のモデル転換・バージョンアップと構造調整の歩みには困難がつきまとい、新たな経済成長源も不十分だ。絶対的な優位性が低下すると同時に、政府の管理は早急な効率アップが求められている。こうした背景の下、中国は新たな改革開放を推進し、総合的な優位性に立脚し、改革によって利益を求めなければならなくなった。そのためには模索とイノベーションが必要で、上海自由貿易試験区の建設は、全国的な発展戦略の必要性に着目し、全国の新たな改革開放に着目して行われたもので、イノベーションのテストケースといえる。同試験区が複製可能で普及推進が可能な経験を積み上げ、モデルとして全国を牽引し全国にサービスを提供する積極的な役割を発揮し、各地域の共同の発展を促進することが期待される。
同試験区は貿易の自由化、投資の自由化、金融の国際化、行政の簡素化という4つの使命を担う。同試験区建設はの2回目の「WTO加盟」ともいえる。初めてWTOに加盟した時のことを受け身で世界と歩調を合わせた動きというなら、この2回目の加盟はより高次元の加盟であり、全面的で先進的、かつ主体的に世界と歩調を合わせる動きだといえる。全面的というのは、貿易にとどまらず、投資、金融、政府の管理など多方面で世界と歩調を合わせることを指し、先進的というのは、小さな範囲で先行モデルを試み、これを全国に推し広めることを指す。主体的に世界と歩調を合わせるというのは、グローバル化した経済管理という新たな情勢・局面に主体的に順応し、国際貿易投資の新たなルール・要求を主体的に受け入れ、開放によって改革・発展を促進するという新たな利益モデルや新たな優位点を主体的に形成し、全国規模の開放に先行するという新たな使命・戦略を主体的に引き受けることを指す。同試験区は開放によって改革を促進するものであり、未来の中国の経済発展に新たな飛躍をもたらし、中国経済が世界の経済システムによりよく参入し、国際競争によりよく参与するための着実な基礎固めを行い、また世界経済の健全な発展、貿易の自由化、国際通貨金融システムの改革にとっても積極的な促進作用をもたらすことが予想される。