FRB議長の「中国は為替レートを操作」発言は誤り
経済復興がうまくいかないと人民元レートを持ち出してやり玉に挙げるのが米国のいつものやり方だ。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は17日、米下院金融委員会で議会証言を行った際、中国は輸出を増やすために為替相場を低い水準で維持してきたと批判した。この発言は事実をみていないばかりか、論理に重大な誤りがあるものだといえる。「京華時報」が伝えた。
実際、人民元レートはこれまでずっと急速に上昇してきた。今年上半期には元の対米ドルレート基準値は累計1068ベーシスポイント上昇し、上昇幅は2%に迫り、実質実効為替レート指数は5.67%上昇した。2012年の実質実効為替レート上昇幅は2.2%だったので、今年上半期の上昇幅は昨年の2.5倍を上回ることになる。
人民元のドルやユーロなどの主要通貨に対する継続的な値上がりは、中国の輸出に直接的なダメージを与えるとともに、輸出製品・サービスの低コストという競争上の優位点を弱めるもので、第2四半期(4-6月)には輸出が大幅に落ち込んだ。バーナンキ議長が言うような輸出の大幅増加は出現していない。
実際、このたび人民元が大幅に引き上げられたのは、FRBの量的緩和政策が直接に手を出したようなものだ。米国が12年に量的金融緩和政策の第3弾(QE3)をうち出して以来、中国の基準金利が米国、日本、欧州連合(EU)などの比較可能なレートを大幅に上回っていることから、利ざやを稼ごうとする資金が中国に大量に流れ込み、人民元が継続的、大幅に上昇することになった。この点からいえば、流動性を動かしてレートの変動を操作していたのが誰かは明々白々だ。
バーナンキ議長は人民元レートが低く抑えられているというが、事実ははたしてそうだろうか。通貨が低く抑えられているか、高く評価されているかを考えるには、主に実際のレートと均衡レートを比較する。研究の結果わかったことは、05年以降、人民元の貿易加重調整後の実質実効為替レートは30%近く上昇し、現在は均衡レートより3%ほど高く、高く評価されている情況にあるということだ。
人民元が短期間で急速に上昇すると、中国経済に非常に大きな困難をもたらす。だからこそ人民元は米国によって継続的かつ受け身に上昇するわけにはいかない。人民元の一方的な上昇観測を打破し、人民元レート形成メカニズムの改革を加速させることこそ、人民元レート政策の未来の選択肢だといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年7月19日