卒業シーズン 高騰する家賃が若者の夢を阻む
今年も中国の卒業シーズンが訪れた。多くの卒業予定者にとって、北京・上海・広州といった大都市での生活は、同世代の人々に羨まれているかもしれない。人生の一大事を終えた卒業予定者は肩の荷を下ろし、新生活の到来を待ち受けることになるはずだ。しかし近年、大都市で高騰する家賃が若者の悩みの種になっており、卒業予定者ばかりでなく、都市部の若いサラリーマン・OLが苦しめられている。市民らは、政府は住宅価格だけでなく、家賃の抑制も焦眉の急になっていると訴えている。経済参考報が伝えた。
◆家賃高騰 家が買えない、借りられない……
第6回全国国勢調査のデータによると、上海・北京の住宅賃貸世帯は全体の30%以上を占め、全国の1・2位となっている。家の賃貸は、大都市で生活する多くの若者の選択肢となっている。北京の有名な不動産会社に勤務する陳氏は、「市街地の家賃の上昇率は、毎年約10%に達している。また卒業シーズンは需要が旺盛なため、さらに割高になる」と語った。
北京市統計局、中国国家統計局北京調査総隊が発表した最新データによると、今年5月の北京市の家賃は、前年同月比で7.4%増となった。中・大都市の住宅価格が高騰し、新卒者などの低・中所得層は「家が買えない」とため息を漏らし、住宅を借りようとしている。しかし入居者の多くは、高額な家賃、困難な賃貸といった問題が、高く手の届かない住宅価格と比べても「遜色」しないことに気づいている。
北京市の地下鉄6号線と八通線の沿線では、1980年代に建てられた簡単な内装を施した住居の家賃は、月約2500元(約4万円)ほどに達している。広州市の場合、大学周辺の家賃が高騰している。鷺江西街の家電なしの部屋は、家賃が1800元(約2万8800円)に達する。2線都市の南京市の秦淮区の場合、40数平方メートルの古い部屋の家賃は、2500元(約4万円)に達する。
北京の有名工科大学を卒業した学生は、北京で5年間勤務した結果、最終的に北京を離れることを決めた。
この有名大学の卒業生の境遇は、「有名大学の卒業生まで追い出されたのだから、おれたち他省出身者はやるせない思いだ」、「他省出身者と比べ、北京市民も楽じゃない。北京市民は避難先さえないのだから」、「昔は『家が買えない』だったが、今や『家が買えないし借りられない』になっている」という、ネットユーザーの自嘲と冗談を引き起こした。
◆家賃高騰、流行語が生まれる