日本企業 中国を離れて低迷から抜け出せるか(下) (2)
経済学者の謝国忠氏によると、ローエンド産業の移転は国際貿易情勢全体にみられる一般的な傾向であり、労働力価格によってこの動きが決定されるという。よって東南アジアへの市場の移転は日本だけの動きではない。中国市場からの撤退については、最終的には日本の中国における発展状況をみなければならない。日本企業が中国で利益を得られないとなれば、または引き続き重大な損失を被るリスクがあるとなれば、中国市場にとどまって発展を目指す必要はなくなる。
また謝氏によると、別の側面を考えれば、日本はこれまでずっと国際市場に頼ってきており、中国は潜在力の極めて大きな市場だ。このため日本は当面の間、中国から完全に撤退することはできないとみられる。よって日本が市場を東南アジアに移転し、中国市場から撤退するとの情報は、個人的には単なる意見に過ぎないと考えているし、また東南アジアの市場モデルは日本の経済発展に合わないと考えている。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)日本研究所経済研究室の張季風主任によると、日本の動きについて判断を下すには、ある前提が必要だ。それは釣魚島問題がどうなるかという前提だ。事態が落ち着けば、日本は中国から撤退しない。日本企業や日本の経済界、産業界はいずれも、日本の将来の発展の道はアジアにあり、アジアの発展は主に中国で達成されるということをはっきり理解している、という。
南京大学商学院の宋頌興教授によると、日本企業はかねてより構造調整を進めており、たとえ釣魚島事件が起こらなかったとしても、引き続き調整を進めたとみられる。事件は産業のモデル転換を加速させただけだ。日本企業が中国から撤退するというのは現実的ではない。現在、東南アジア諸国連合(ASEAN)自由貿易地域(AFTA)をめぐり交渉と検討が行われており、未来の方向性はまだ根本的に定まっているとはいえない。短期的にみれば、日本企業が中国で受けた打撃は主に自動車市場における打撃だ。中日双方が冷静になれば、中国の消費者は再び経済的な観点から物事をみるようになり、一時的な感情が主導するような事態にはならないとみられる。また中国にある日本製品のほとんどは合弁企業が生産したものであり、中国で組み立てられた製品ばかりだ。日本製品を閉め出すということは、中国が自分で自分の道をふさぐことにほかならない。