中国・メキシコ関係の新たな一章
中南米の多くの国が軍事政権下にあった1970年代、メキシコはこの地域で最も政治的に安定し、経済的に発展し、積極的な思考を持つ国だった。(文:曽鋼・駐メキシコ中国大使)
1971年の第26回国連総会で、メキシコ政府は中華人民共和国の国連における合法的な議席の回復を毅然と支持し、翌年2月14日には中南米で最も早く中国と国交を樹立した国の1つとなった。国交樹立後、中国・メキシコ関係は急速に発展し、各分野で全面的な協力が繰り広げられた。メキシコが毎年中国人留学生数10人に政府奨学金を給付したのはその重要な事業の1つであり、私自身、幸運にも改革開放後最も早く出国した留学生の一人となることができた。
1979年末に初めてメキシコについた時、最も深い感銘を受けたのはその燦然たる輝かしい歴史と文化だった。メキシコは米州古代文明発祥の地の1つであり、マヤ文明はその最も傑出した代表として称えられている。聡明な古代マヤ人は天文、暦法、数学、農業、建築、彫刻など多くの面で高度の知識を持ち、当時宗教祭祀のために建造された大小様々な数千のピラミッドはいまだに世界各地の観光客を惹きつけ、古を偲ばせている。古代マヤ人の栽培したトウモロコシ、トマト、唐辛子、カカオ、タバコなどは世界各国の人々の飲食の重要な一部となり、人類の生存と発展に不滅の貢献を果たした。
2年前に私は光栄にも駐メキシコ大使を拝命した。私は過去10数年でメキシコが全体的に明らかな進歩と発展を遂げたのを感じている。その間、世界金融危機による深刻な打撃も受けたが、経済は比較的速く成長を回復し、落ち着いた発展を維持した。メキシコは昨年、1人当たりGDPが1万ドルを超えた。遠からぬ将来「中所得国の罠」を回避して、高所得国の列に加わる見込みがある。