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「不易流行」を実践する反逆のいけばな師 大坪光泉氏<文字版> (4)

過去の作品

 ■計画より2年早めに帰国を決意した理由

 --当初どのような夢や目標を抱いて中国に来られたのですか?

 一番の希望と夢は中国で非常に優秀ないけばなの人材を育てたいというものでした。でも、残念ながらそれは、わずかしか叶えられませんでした。一番大きな理由は、日本のいけばなの稽古の形態や置かれている状況が中国とは大きく異なっている点です。例えば日本では、生け花の稽古を始めたら、毎週1回、10年とか20年とか勉強を続けます。でも、このような長期間を要する習い方は特に中国の北京とか上海とか、そういう大都市ではありえません。

 例えば1週間とか、1カ月とか、せいぜい長くて3ヶ月の集中講座とか、みんな短期間でしか習おうとしません。それに参加したら、再び戻ってくることはないという状況です。それが、中国の都会のいわゆる芸事の習い方です。それについては、中国の生け花の先生も「みんな、ゆっくり勉強するなんてことはやってくれない」と嘆いていました。そんなこともあり、中国で特別な生け花の才能を持った人を育てるということが、できなかったのは残念なことでした。

 しかし、いわゆる微博(ウェイボー・ミニブログ)を通して、才能のある人がどんどんとアンテナにひっかかってくるんです。微博を通して発表した作品を見て、色々と大きく興味を持ってくれる。ある意味、講演会とか実際の稽古場で花を教えるよりももっと刺激的で持続的な活動になると思います。そういう意味では、微博が一番活発な時期にちょうどいいタイミングに、私が北京にいて、それを使って色々なたくさんの人を刺激しつづけるという良い機会に恵まれました。

 --微博を利用するなど、北京にいたからこそ発信できたことも多いのでしょうね。

 微博でこういう作品はどうだろうと提案すると、いけばなに興味を持っているレベルの高い人たちはすぐに食いついてきます。日本よりも反応は速いし、ダイレクトで面白いです。ツイッターは駄目ですね。生け花そのものに関して鈍感ですし、機能的に微博ほど写真を載せるのに便利でない。微博はほとんどワンタッチで済みますから、操作性の問題も大きいです。

 それに微博の場合は、まず先に写真があって、文があります。まず写真ありきなんですね。でも、ツイッターは先に文があって、写真があることもあるという、あくまでも文がメインです。そういう点で、生け花にとっては微博のほうが断然いいです。一つ載せると、何千人とか何万人とかの人がすぐに見てくれますから。

 あと、いけばなの先生といっても、一つの組織の一人なので、流派に所属して日本にいる限り、所属流派に管理されます。しかし、この8年間、そこからほとんど完全に解放されて、まったく自由な発言をいいたい放題してきました。自分の流派から脱退してもいいという覚悟を持って、外国から日本の流派やいけばな界に向けて反逆的な発言をするのです。逆に、東京にいたら、できなかったと思います。

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