アン・リー監督 数々の映画賞受賞の栄光
中国・台湾で生まれたアン・リー(李安)監督の映画界における活躍は、かつて全米に衝撃を与えたカンフーアクション俳優ブルース・リーと同じく、中国人の間では、すでに伝説となりつつある。2月25日に発表予定の第85回アカデミー賞11部門にノミネートされている新作「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」は1月31日時点で5億2500万米ドル(約477億円)を超える興業成績を上げている。この世界的大ヒットを受け、アン・リー監督の類まれなストーリーテラーとしての能力や全く新しいジャンルに挑戦しつづける勇気が改めて中華圏でも評価されている。
アン・リー監督が、中国で伝説のアクションスター、ブルース・リーと並んで語られるわけは、若くして米国に渡ったこと、米国で正式にアカデミックな教育を受けていること、また米国社会への影響力の大きさの3点がある。アン・リー監督は台湾で国立の芸術系短期大学を卒業した後、米国に渡り、その後、イリノイ州立大学とニューヨーク大学で正式に映画を学んだ。
アン・リー監督は「ウェディング・バンケット」(93)と「いつか晴れた日に」(95)で世界3大映画祭の一つであるベルリン映画祭の金熊賞を受賞しその才能を世界に知らしめた。その後は米国ハリウッドに深く入り込み、「グリーン・デスティ二?」(00)でアカデミー賞外国作品賞、「ブロークバック・マウンテン」(05)でアカデミー賞作品賞を受賞する。そして、初めて挑戦する3Dの新作「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」では2013年度アカデミー賞11部門でノミネートされており、中国人監督というカテゴリーを越え、いまやハリウッドで認められるアカデミー賞常連監督となった。また、「ライフ・オブ・パイ」の世界的大ヒットにより興行累計成績が昨年の時点で計12億米ドル(約1067億円7600万円)となり、長年トップの座についていたジョン・ウー監督を抜いて中国人監督のトップに立ち、名実共に中国を代表するトップ監督となった。