人型ロボットの普及が加速 価格は新エネ車並みになる?
人型ロボットの普及が加速している。このほど行われた2024年世界スマート産業博覧会で、人型ロボットが改めて注目を集めた。
国際市場研究機関Stratistics MRCの予測では、2021年から28年にかけて、人型ロボットの市場規模は15億-264億ドル(1ドルは約159.7円)に拡大し、19倍近くまで増加するという。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はこのほど、「2025年に人型ロボット『Optimus(オプティマス、中国名・擎天柱)』の限定生産を開始する予定で、同年には自社工場でヒューマノイドロボットのテストも行う予定だ。人型ロボットはこれから産業の主力になり、その数は人類を超えて、100億台から200億台に達するだろう」と述べた。
中国国内では、EX機器人公司(エクス・ロボッツ)の共同創業者で総裁の李博陽氏が、「弊社は人型ロボットの量産をすでにスタートしている」と明かしている。
人型ロボットにはどんなことができるのか
ここ数年、中国では人型ロボット技術の発展が続いている。工業情報化部(省)は「人型ロボットのイノベーション発展に関する指導意見」の中で、「人型ロボットはコンピューター、スマートフォン、新エネルギー自動車に続く破壊的(イノベーション)製品になり、人類の生産スタイルと生活スタイルを大きく変えることが予想される」との見方を示した。
人型ロボットにはどんなことができるのか。美しい外観をした人型ロボット「小柒」は人間と双方向のやりとりをする中で、「私にできることはたくさんあります。一緒におしゃべりしたり、面白い話をお聞かせしたり、その日のお天気をお知らせしたりできますし、最近話題のレストランをお探しすることもできます」と答えた。
「小柒」はエクス・ロボッツが開発したもので、人間の出すさまざまな質問に答えるだけでなく、話の内容に基づいて、口の形や表情、身体の動きを変えることができる。
李総裁は「小柒は今、主に受付業務をしている。弊社は今年5月に小柒の量産をスタートしており、今年は500台が目標で、すでに数十台がラインオフした。主なクライアントはチェーン店舗や展示ホールを擁する規模の大きな上場企業だ」と説明した。
「将来は人型ロボットの需要が自動車を上回り、価格は新エネ車並みになる」
人型ロボットはさまざまなシーンで急速に普及しており、それはここ数年の人工知能(AI)や大規模言語モデルといった技術の飛躍的発展のおかげだと言える。
「人型ロボット産業研究報告」によると、中国の人型ロボットはAIやマシンラーニング、コンピュータビジョンなどの先進技術を搭載したスマート化ランクアップ段階に入ったという。
人型ロボット開発会社の優必選(UBTECH Robotics)の焦継超副社長は、「大規模言語モデルの登場により、ロボットの理解力は極めて大幅に向上した。ロボットはより自然に人間との交流ややりとりができるようになり、複雑な操作は不要になり、ロボット自身の理解と推理に基づいて、任務を正確に遂行できるようになった」と述べた。
「人型ロボット産業研究報告」はさらに、「将来を展望すると、中国の人型ロボットは政策や資本、技術などさまざまな角度でのエンパワーメントを受けて、市場のポテンシャルが加速度的に発揮される見込みだ。2026年の中国の人型ロボット市場の規模は100億元を超え、30年はさらに1千億元市場へ成長するとみられる」とも指摘している。
焦副社長は、「AIの発展にともない、人型ロボットはつきそい場面での感情表現がますます自然になっている。介護と教育の分野で、徐々に言葉での自然なやりとりが出来るようになり、感情を大切にしたやりとりという価値をもたらしている」との見方を示した。
エクス・ロボッツの李総裁は、「今後2年間に大量の人型ロボットの応用プロジェクトが登場し、今後約5年間に小規模な量産化ニーズのピークが到来することになるだろう。ビジネス市場向けの応用がまず登場し、消費者市場の大量に応用されるには少なくとも10年の時間が必要とみられる」と予測した。
現在、エクス・ロボッツの量産型人型ロボットの価格は70万元(1元は約22.0円)から80万元ほどだ。オーダーメイドなら、大体150万-200万元となる。
李総裁は、「人型ロボットが本当に一般家庭に普及するようになれば、市場需要は極めて大きくなり、自動車市場よりも大きな需要になるだろう。ロボットが家庭内の重要なハードウェアデバイスになれば、価格は新エネ車並みになるはずだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2024年6月24日
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