中国の観客にとって映画やドラマの字幕は「必需品」であり「羅針盤」?
写真は映画・DUNE/デューン 砂の惑星から
あるネットユーザーが最近、中国の国産映画やドラマの場合、そのほとんどには中国語の字幕が付けられているが、海外の映画やドラマの場合、そうではないことに気付いたと投稿した。中国の多くのネットユーザーからは、「映画を見る時に字幕がないと、なんだか物足りず、そのストーリーがはっきり頭に入ってこない場合すらある」といったコメントが寄せられている。
では、映画やドラマに字幕が付けられているのは中国だけなのだろうか?
海外のネットユーザー「字幕があると気が散る」
字幕表示は、確かに中国語の映画やドラマ特有の特徴となっている。海外では、聴覚障がい者など向けに、特別に字幕を表示する場合を除いて、映画やドラマに字幕が付いていることはあまりない。海外の掲示板には、映画やドラマに字幕は必要かというトピックについて、ネットユーザーたちは、「気が散るので、字幕表示を望む人はほとんどいないと思う」や「英語字幕付きの英語の映画を見させられたら気が変になる。英語以外の言語の映画に英語字幕を付けるのは好きだけど、英語の映画に英語字幕はいらない」といったコメントを寄せている。
中国ネットユーザー「字幕は必需品」
一方、中国の多くのネットユーザーは、字幕は映画やドラマを見る時の「必需品」としている。ある中国のネットユーザーは、「中国の映画館で上映される全ての映画に字幕が付けられている。気が散ると思ったことはない」とコメントを寄せている。
Q&Aサイト「知乎」の多くのユーザーも「字幕派」で、字幕を「必需品」と感じていた。
中国人が字幕表示を好む理由とは?
中国人が字幕表示を強く望むのは、中国には多くの方言があり、その発音やアクセントも地域によって異なり、さらに漢字は表意文字であるため、言語の複雑性が増しているためだという見方もある。
一方、英語やドイツ語、フランス語は表音文字で、音を頼りに文字を識別するため、字幕があると逆に気が散るというわけだ。
当然ながら中国の人々にとって、「字幕」が動画を見る時の「必需品」となっているのは、その時代にも関係がある。なぜなら新世代の若者は「字幕付き」という文化と習慣の社会で育ったからだ。過去に制作された「四大名著(西遊記、水滸伝、三国演義、紅楼夢)」のドラマには字幕はなかった。「三国演義」の一部には字幕が付けられているものの、そのほとんどが登場人物が詠む詩や歌の内容となっている。
1960年代になり、香港特別行政区の映画やドラマに字幕が「標準装備」されるようになった。当時、香港映画は国内外で一世を風靡し、字幕が広東語と普通話(標準中国語)の間にある「壁」を取り除いてくれたのだ。
さらにテクノロジーの発展により、映画やドラマのバックミュージックがバラエティに富むようになり、俳優のセリフに集中しにくくなり、字幕の需要が高まったという一面もある。
例えば、銃撃戦が展開される映画やSF映画などでは、迫力ある効果音でドキドキ感を高めている。そのため、パニックシーンなどでは字幕がまるで「羅針盤」のような役割を果たし、映画の内容を視聴者に正確に伝えることができる。
中国のように、ほとんどの映画やドラマに字幕が付いているという国は少ないものの、日本や米国、及び一部の動画配信サイトでは、「字幕」表示を選択できるようになっている。
近年、グローバル化が進むにつれて、中国人が海外の映画やドラマを見る機会がますます増え、2つの言語の字幕が表示される動画を見ることが習慣になっているという人も少なくない。そして、字幕のニーズがさらに高まって「必需品」となり、字幕無しでは動画を見ることができないという現状が生まれたのだとみられている。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年3月19日
注目フォトニュース
関連記事
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257 Mail:japan@people.cn