人民元相場が対ドルで今年初めて7.3元を下回る 今後はどうなる?
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中国の人民元相場が対ドルで下落し、初めて「1ドル=7.3元」の大台を割り込んだ。15日午後5時の時点で、オフショア人民元の対ドル直物為替相場の最安値は1ドル7.3204元で、7月31日の終値と比べて、半月の間に1700ベーシスポイント以上下落したことになる。中国新聞社が報じた。
総合不動産サービス会社・ジョーンズ・ラング・ラサールの龐溟・中華圏チーフエコノミスト兼研究部ディレクターは、「これは主に、ドル指数が上昇に転じたのが原因で、それにつられて元が受動的に下落した。市場は、欧米の銀行業のファンダメンタルズと展望を見直し、懸念を示すようになっている。リスク回避による対ドル需要が高まり、ドル指数が上昇している」と分析している。
また、中国人民銀行(央銀行)が15日、MLF(中期貸出ファシリティー)引き下げを発表したため、中国と米国の金利差も拡大した上、中国のマクロ経済データ、特にそのベースとなっている回復傾向への注目が重なり、人民元為替レートに、段階的かつ短期的に下振れ圧力がかかった形となった。
ただ、龐氏は、「予想外にも金利引き下げが実施されたほか、マクロ経済データが発表されて以降、人民元為替レートは、午前中の取引で上昇に転じたことにも目を留めなければならない。つまり、外部要素とマクロデータよりも、市場はさらなる政策が講じられることに注目し、それを期待しているということだ」との見方を示す。
そして、「米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは最終局面に近づいている一方で、中国のマクロ経済の基礎が良好で、実力に富み、自信が強く、切ることのできる為替政策のカードが揃っており、その種類が豊富なことを考えると、『7.3元』が、第3四半期(7-9月)の最安値となると見られる。今後の為替レートも引き続き、ドル指数や他の主なエコノミーの経済状況と政策の方向性、中国のマクロ経済のファンダメンタルズ、為替政策などの影響を受け、ある程度の波があったとしても、人民元為替レートは、合理的でバランスの取れた水準を安定して維持することになるだろう」と予想している。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年8月16日
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