「北向互換通」が15日にオンラインで取引をスタートし、中国金融市場の対外開放プロセスは再び重要な出来事を迎えた。このことは人民元国際化と銀行間取引金利デリバティブ(金融派生商品)市場のさらなる発展を推進する上でプラスになる。
「互換通」とは、中国内外の投資家が香港特別行政区と大陸部のインフラ機関を通じて香港デリバティブ市場と大陸部銀行間デリバティブ市場にアクセス・参加するメカニズムを指す。「北向互換通」とは、香港特区及び他国・地域の海外投資家が香港特区と大陸部のインフラ機関との間の取引・清算・決済などの面における相互接続のメカニズムを経由して、大陸部の銀行間デリバティブ市場に参加することだ。
中国人民銀行(中央銀行)上海本部のデータによると、2023年3月末現在、海外機関が保有する銀行間市場の債券は3兆2100億元(1元は約19.5円)に達する。国際市場の投資家の中国国内債券市場への参加が深まり続けるのにともない、投資家の間ではリスク管理ツールに対するニーズも日増しに高まっていた。
これまで大陸部と香港特区の債券相互取引メカニズム「債券通」の投資家は主にオフショア人民元商品スワップを利用して金利リスクをヘッジしていた。「北向互換通」はこうした投資家に便利なルートを提供し、香港特区の金融インフラとなじみのある海外仲介機関を通じて、流動性の良好なオンショア金利スワップ市場に参加することができるようにするもので、取引コストの引き下げ、リスクヘッジの効率向上にとって有利になる。
中国外貨取引センターが発表した「北向互換通」の参加企業リスト第1弾には金融機関20ヶ所が名を連ねている。そのうち中国資本銀行が10行、外資系銀行が6行、証券会社が4社となっている。
現在、中国債券市場の規模は世界2位で、人民元資産には安全性と流動性が兼ね備わるという特徴がある。香港交易所集団のニコラス・アグジン(欧冠昇)行政総裁は、「『互換通』は相互接続が海外投資家にもたらす人民元資産のエコシステムをさらに豊富にし、オフショア人民元を利用したオンショア金利スワップ市場への投資に対応するもので、投資家に新たな選択肢をもたらした。また『互換通』はより範囲の広い持続可能な人民元国際化プロセスを推進し、ひいてはグローバル市場における人民元の地位を向上させることになる」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年5月17日