今年のメーデー5連休には、1杯のタニシ麺、1杯のミルクティ、1本の串焼きが、数多くの若い観光客にとって遠くの都市まではるばる旅行に出かける理由になった。中国新聞社が伝えた。
柳州のタニシ麺の店の前で長い行列を作る観光客。(撮影・林馨)
連休中は連日にわたり、各地からの観光客が評判を聞いて「ネットで人気の軽食」のタニシ麺を食べようと、広西壮(チワン)族自治区柳州市を訪れた。夜の帳が下りる頃、市内の大規模な夜市はどこでも、タニシ麺、タニシ炒め、ロールアイスなどさまざまな食べ物のおいしそうな匂いが漂い、食いしん坊達が次々にやって来てあちこちの店を回る光景が見られた。
柳州の名物軽食のタニシ麺。(撮影・林馨)
大学生の林清華さんはタニシ麺を食べるために広東省から人気スポットの柳州にやって来た。彼女と同じようにタニシ麺のために柳州に来たという観光客は少なくない。祝休日や週末になると、柳州の多くのタニシ麺店には数十メートルもの長い行列ができる。データをみると、同市の今年第1四半期(1-3月)の観光客受け入れ人数は前年同期比55.3%増の延べ2060万3400人だった。
話題のグルメが旅行の動機という観光客が増えている。同連休中、山東省淄博(しはく)市や湖南省長沙市など人気グルメ都市へ向かうチケットはまったく手に入らない状況だった。
林さんも、「淄博や長沙に行って話題の焼き物や臭豆腐といった名物軽食を味わってみたい。若い世代の旅行では体験感がより重視される。いろんな場所に行っていろんなグルメを食べてみたい」と話した。
柳州のタニシ麺の店の前で長い行列を作る観光客。(撮影・林馨)
従来の観光旅行とは異なり、中国のZ世代(1995年~2009年生まれの若者たち)は体験型消費をより重視し、新しいことに挑戦するのを楽しむ傾向が強い。「Z世代消費力白書」によれば、Z世代の消費者の46%が「消費を通じて存在感を獲得したい」と考えている。
これと同時に、中国の高速鉄道の相次ぐスピードアップ、ショート動画、SNSが人気を後押しする役割を果たして、より多くの中小都市のグルメがバズるようになった。ショート動画では、さまざまなグルメが若者に購買意欲を植え付けた。高速鉄道のチケットが1枚あれば、思い立ってすぐに旅行に出かけられるようになった。
グルメが若者の旅心を引きつける「アクセスのカギ」になった今、誠意を見せることが若者をがっちりつかまえる「必殺技」だ。
5月2日深夜、広西壮(チワン)族自治区柳州市風情港のナイトマーケットで、グルメを楽しむ観光客たち。(撮影・韋国政)
多くの都市が観光サービスを高度化してファンをもてなしている。柳州市はタニシ麺や夜食、グルメを求める観光客のために、ネットで人気のタニシ麺店や大規模な夜市を経由する専用バスを運行している。また同市はメーデー5連休中、タニシ麺ファンをもてなすボランティア・サービススポットを200ヶ所近く設置したほか、柳江の水上音楽噴水の回数を増やす、手荷物預かり所を増やすなどして、観光客に全方位的なサービスを提供している。
淄博市は観光客を呼び込むため、焼き物マップを作成し、焼き物と連携した高速鉄道も運行している。同市は連休が始まる前に通知を出して、条件を満たした政府機関に駐車場とトイレを無料で一般開放するよう要請した。
中国のネット人気都市が「外からのアクセス」をどうすれば都市の中にとどめることができるか。北京市社会科学院の王鵬研究員は、「一時的な人気はいつかは終わる。オンラインとオフラインによる立体的なマーケティングを行い、点を線につなげ、地域全体が連動するようにしてはじめて、地方の名物を整った産業チェーンに発展させ、さらにはブランドイメージを形成して、都市の看板に育て上げることができる」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年5月4日