北京冬季五輪の会場でボブスレー競技が13−20日の日程で行われる。競技の金メダル数は、男子2人乗り、女子1人乗り、女子2人乗り、4人乗りの計4枚。中国の選手は「チャイニーズレッド」の国産ボブスレーに乗り、猛スピードで好調な滑り出しを見せた。科技日報が伝えた。
スポーツ競技、特に五輪競技場の裏側で駆け引きを展開するのはハイテク装備だ。ボブスレーの勝敗はほんの少しの差で決まる。2018年の平昌冬季五輪では、BMWはドイツ代表のためにハイテク炭素繊維ボブスレーを製造し、ドイツチームの優勝を後押しした。
科学技術部(省)は2019年に、第2弾となる「テック冬季五輪」科学研究プロジェクト申請案内を発表し、プロジェクトによりボブスレーの研究開発と製造を支援するようにした。専門家は、ウィンタースポーツ用品の技術的「ネック」の解消がボブスレーから始まるとの見方で一致した。
出場するボブスレーは主に複合材料車体と金属シャーシからなっており、重量、サイズ、基本的な材料の使用について明確な要求がある。具体的に車体を見ると、空気抵抗が低く衝撃に強くすることで、スピードを上げると同時に選手の安全を保証できる。北京化工大学の楊小平教授は、「科学研究には共同研究開発が必要だ。我々は優位性を持つ各方面に参加してもらい、サポートし合った。チームには空気力学の専門家がいれば、中国ボブスレー代表の元コーチ、さらに新材料の専門家もいた」と述べた。
チームのメンバーは海外の引退したボブスレーを解剖し、丁寧に分析を行った。設計、材料、製法……ボブスレーの秘密が明らかになった。「このボブスレーの空力形状に工夫を凝らしたことが見て分かる。しかし我々宇宙飛行関係者から見れば、まだ最適化の大きな余地が残されている」。チームの宇宙技術者からのフィードバックを受け、プロジェクトチームは自信を持つようになった。時速1万キロにのぼるロケットのフェアリングの外形に対する要求は、百キロ級のボブスレーの比ではない。製法についても、チームは宇宙分野からより軽量でより強度の高い炭素繊維複合材料を見つけることができる。
国産ボブスレーの製造にはイノベーションが必要だ。チームは風洞試験とコンピューティングを結びつけ、ボブスレーの空力形状の設計と最適化を行った。同時に国産のT800宇宙クラス炭素繊維複合材料を車体の製造に用いた。楊氏は取材に、「その強度は中国代表が使用中の材料の2倍以上にのぼった。国産ボブスレーはさらに翼身融合構造の全体成形という新しい製法を用いた。これにより車体の空気抵抗を下げる精度を保証した一方、部品の接続を減らし車体の信頼性を高めた」と述べた。
第1世代国産ボブスレーの研究・製造が21年1月に完了し、完成した。風洞試験によると、冬季五輪の競技マニュアルを満たした前提で、その空気抵抗は海外の同類製品を8%下回った。
第1陣・第2世代国産ボブスレーが21年9月10日、正式に国家体育総局ウィンタースポーツ管理センターに引き渡された。うち、2人乗りが2台、4人乗りが2台が含まれた。
楊氏は、「第二世代のボブスレーは第1世代より全面的に向上した。構造設計がより細やかに、金型の設計がより合理的になり、材料の性能がさらに上がった……風洞試験によると、第2世代国産ボブスレーは中国代表が当時用いていた物と比べ、計算空気抵抗が6%下がり、実測値では4%下がった」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年2月17日