四川省涼山彝(イ)族自治州寧南県と雲南省昭通市巧家県に位置する白鶴灘水力発電所には、高さ4メートル近く、直径15メートル超、重さ1274トンのできたての「万層餅」がある。
これは小麦粉で作った食べる餅(ビン)ではなく、発電機の最も重く最も大きい中核部品である回転子のことだ。これは2万枚超の電磁鋼板で作られている。
2万層超の巨大な物体が最終的に回転する上、1分当たり111回のペースになる。これは時速345キロの回転速度に相当し、高速鉄道の速度とほぼ同等だ。
この2万層超の電磁鋼板が不均一・不均等であれば、回転子全体の重量が不均一になる。そうすると、高速回転時の大きな遠心力により関連部品が壊れ、発電機全体の安全が脅かされる。しかし2万層超の電磁鋼板を均一・均等に積み重ねるためには、各層を非常に均一・均等にしなければならない。これは非常に難易度の高い技術だ。
三峡ダムは20年前、海外からこの「万層餅」の「層」を輸入するしかなかった。海外メーカーは各層の粗さを6ミリメートル内に抑えることができた。しかし現在、中国の発電機はますます大型化している。白鶴灘水力発電所の発電機には世界最大の回転子が採用されている。回転子が大きいほど各層の平坦性への要求が高くなる。海外の電磁鋼板ではこの条件を満たせなくなった。
このネックとなる問題を徹底的に解決するため、太原鋼鉄集団は困難に立ち向かい、数えきれないほどの試験を繰り返した。それにより電磁鋼板の最良の成分構成を発見し、複数の技術的難題を解決した。電磁鋼板の粗さを一挙に5ミリメートル下げ1ミリメートル内とした。それにとどまらず、中国の大型水力発電所の高強度鋼、極厚ハイレベル水力発電鋼板、高品位ケイ素鋼などの輸入依存から脱却した。鉄鋼業界は100万kW水力発電機が世界一を達成するための力強い後ろ盾になった。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年2月7日