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国家統計局、科学技術部(省)、財政部がこのほど共同で発表した「2020年全国科学技術経費投入統計年報」によると、2020年の中国の研究開発(R&D)費は総額2兆4千億元(1元は約17.0円)を突破して、前年比2249億5千万元増、同10.2%増の2兆4393億1千万元(約41兆4430億円)になり、第13次五カ年計画期間以来の2けた増が続いた。しかし新型コロナウイルス感染症などの要因の影響により、増加率は前年比2.3ポイント低下した。「経済日報」が伝えた。
同局社会科学技術・文化産業統計司(局)の統計家である張啓龍氏は、「研究開発費の増加率は現在の国内総生産(GDP)成長率を7.2ポイント上回り、研究開発費投入強度(対GDP比)は前年比0.16ポイント上昇の2.40%に達し、上昇幅は約11年ぶりの最高を更新した」と説明した。
海外と比較すると、中国の研究開発投資は安定の中で成長している。3つのポイントがあり、1つ目は規模の安定した増加だ。20年の中国の研究開発費の規模は米国の約54%、日本の2.1倍で、世界2位をキープした。16年から19年の中国の研究開発費の年平均増加額は毎年2千億元を超え、G7の年平均増加額合計の60%に相当した。2つ目は増加率が世界一であることだ。16-19年の中国の研究開発費の年平均増加率は11.8%で、科学技術強国である米国(7.3%)や日本(0.7%)をはるかに上回った。3つ目は強度の上昇傾向が加速していることだ。世界の主要エコノミーの中で、中国の研究開発費投資強度は16年の16位から12位へと上昇し、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均レベルに近づいた。
研究開発活動のタイプ別に見ると、基礎研究経費が持続的に増加し、比率はほぼ安定していた。20年の基礎研究経費は前年比9.8%増の1467億元で、増加率は前年比12.7ポイント低下し、研究開発費全体に占める割合は6.01%となり、2年連続で6%を超えた。応用研究経費は同10.4%増の2757億2千万元、試験開発経費は同10.2%増の2兆168億9千万元だった。
張氏は、「大学と政府機関に所属する研究機関が中国の基礎研究活動の2大実施主体だが、感染症の影響により、学校の再開や経済活動の再開が遅れ、一部の科学研究活動の正常な展開がある程度の影響を受けている。20年の大学の基礎研究経費は724億8千万元、政府機関所属の研究機関の同経費は573億9千万元で、両者を合わせた全国の基礎研究経費の増加額に対する貢献度は前年の89.6%から50.4%に低下し、これが基礎研究経費の増加率が鈍化した主な原因になった」と述べた。
張氏は、「感染症の打撃と複雑で厳しい国内外の環境に直面しながら、中国の研究開発費は急増傾向を保ち、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な完成のために力強い保障を提供した。今後は経費の投入規模を引き続き拡大すると同時に、経費投入構造のさらなる最適化、投資の質と効率の向上も必要だ。3つのポイントがある。1つ目は政府の資金投入を最適化し、資金を経済社会の発展で最も必要とする重要ニーズにさらに集中させ、重点分野の鍵となる業界へより傾斜するようにし、経費の予算管理と拠出方法を改善し、『旗振り』の役割を十分に発揮させることだ。2つ目は企業の主体的な役割を発揮させ、企業がオリジナルのイノベーションと独自技術の研究開発への投資をさらに拡大し、イノベーション連合体を構築するなどの方法で産学研協力を強化し、メインプレーヤーの力を向上させる。3つ目は社会全体の多様化した投入メカニズムを整備し、社会からの寄付、ベンチャー投資、フィンテック商品などの資金調達ルートを充実させ、新型研究開発機関の発展に力を注ぎ、多様化した研究開発の生態圏を構築することだ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年9月24日