ちり一つ落ちていないスマート化された作業現場には、「ロボットアーム」を持った数十台の産業用ロボットがいて、製造ラインで忙しく働いている。同「ロボットアーム」が操作しているのは1枚また1枚のシリコンチップだ。ここでは巡回チェックの技術者2-3人が時折姿を見せるほかは、「出勤」しているのはほぼすべてロボットだ。一部の材料の運び込みも、フロアを縦横に走り回る運搬用ロボットに任せている。「科技日報」が伝えた。
これは四川省眉山市にある結晶シリコン太陽電池メーカーの通威太陽能(眉山)有限公司の作業現場の様子だ。
同社安全環境部の責任者の張培さんは、「製造プロセス全体をわかりやすく説明すると3つの段階に分かれる。最初はチップをカットする段階で、表面をきれいにする。次は成型の段階で、チップにひだを生じさせる。最後は導線を作る段階に相当し、チップ表面に電界を形成する。全製造プロセスはスマート化された製造ラインの各種ロボットによって行われる」と説明した。
こうした「スマート工場」は、「デジタル経済」の発展に力を入れて工業のデジタル化を推進する四川省の取り組みの縮図だ。同省は現在、工業の分野で「5G+インダストリアル・インターネット」の発展を重点的に支援し、従来型製造設備のネットワーク化、重要製造プロセスのデジタル化を推進し、複数のスマート作業現場、デジタル工場、スマート製造サービスの「クラウドプラットフォーム」などを構築している。
これまで「技術で飯を食ってきた」従来型産業も、デジタル化へモデル転換しつつある。亜度家居公司は四川省徳陽市にある家具メーカーだ。その「5G+スマートオーダーメイド」製造現場に行ってみると、板材が材料搬入ポートから製造ラインのベルトの上に1枚ずつゆっくり滑り出し、ラインは板材にあるQRコードに基づいて、それぞれの「身分情報」と必要な設計図を自動的に識別し、設計図に従ってスマート化された製造工程を進める。
これまでの家具製造プロセスでは、人が切り出し、穴開けをするときに誤差が生じ、廃材が生まれやくなっていた。今は5Gネットワークを通じて、現場のデータを制御プラットフォームにリアルタイムで送信し、設備加工時ののこぎりのサイズ、穴の直径と深さ、溝の方向などを正確に調整できるようになり、板材の利用率が以前の60%から現在の98%に上昇した。
同社の胡継飛副社長は、「この現場は当社の従来の複数のラインの製造能力を統合し、あらゆる板式家具を製造できるようになった。クローゼットなら、板材がクローゼットになるまで、製造時間が8時間から3時間に短縮され、人手も7割カットできたものの、製造能力が2倍に向上した」と話した。
「デジタル経済」による「スマート工場」へのエネルギー注入のポテンシャルは非常に大きい。四川省発展改革委員会の調査研究によると、同省の従来型企業の95%以上がデジタル化モデル転換に意欲を見せるが、実際に試みた企業は30%前後にとどまるという。こうした状況に対し、同省の関係当局は方向性を持った措置を打ち出して、より多くの企業が製造設備にスマートの「頭脳」を埋め込み、デジタル化のボーナスを享受できるようサポートしている。
第14次五カ年計画期間に四川省のデジタル経済投資はピークを迎える見込みで、同省は21万ヶ所を超える5G基地局、40万ヶ所のデジタルセンターキャビネットを建設し、デジタル経済の工業・技術改良の重点プロジェクト500件以上を実施し、投資額は累計1兆元(約17兆円)を超えるとしている。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年8月30日