大学新卒者就職競争力報告 最も給料が高い専攻は?

人民網日本語版 2021年07月12日10:05

求人プラットフォームのBOSS直聘研究院はこのほど「大学卒業生専攻別競争力報告2021」を発表した。それによると、2020年下半期以降、中国経済が徐々に回復するのに伴い、雇用市場の情勢が急速に好転している。21年の大学新卒者は909万人に達し、大学での求人の規模が目に見えて回復し、新卒者全体として雇用情勢は20年よりも大きく改善したという。

研究チームは各専攻の大卒者の平均初任給、今後3年間の賃金・キャリアアップ予想、雇用サイドから見た履歴書の評価などの側面からモデルを構築し、短大・高専、学部、大学院それぞれの専攻の就職競争力上位30ランキングを作成した。

AI専攻の大学院生の初任給は約32万8千円

大学院の雇用市場では、理工系の専攻の競争力がとりわけ力強い。

工学系では、人工知能(AI)とマシンラーニングを専攻した大学院生の平均初任給が1万9298元(1元は約17.0円、約32万8千円)に上り、各専攻の中でトップに立った。理学系で就職競争力が突出しているのは主に数学・統計学、確率論・数理統計の専攻で、ランキングは4位だった。ランク入りした専攻の卒業生は主にビッグデータ・AIのアルゴリズムの研究開発に関連した仕事に就いている。

AI専攻の高い人気と現在の関連人材の供給不足の現状とは密接な関わりがある。深セン市人工知能産業協会がこのほど発表した「人工知能発展白書2021」は、「2020年に中国のAI中核産業の規模は3251億元に達し、中国のAI関連分野の従業員数は60万人を超えたが、人材はまだまだ不足している」と指摘した。

工学・理学系専攻の大学院生の競争力が持続的に上昇していることは、同じように新インフラ整備の発展によるハイレベル人材の切迫したニーズと密接な関わりがある。調査によると、21年にランク入りした専攻は、新インフラ整備の重点分野のコア技術に関連したポジションをめぐり盛んに人材募集が行われているものばかりだ。

農業工学・情報技術(IT)の専攻が初めてランク入りしたことが注目される。同専攻は農業機械化、農業情報化、農業スマート化など先端の工学分野と深く結びついたカリキュラムをカバーしている。同研究院のデータによれば、この3年間近くで、同専攻卒業生の平均賃金上昇幅は31%に達したという。

フィンテック専攻が初めて学部生の初任給トップに

学部生の専攻別の雇用状況を見ると、金融業のデジタル化モデル転換の流れが加速することにより、17年に正式に開設されたフィンテック専攻が最大の「ダークホース」になった。21年のフィンテック専攻の就職競争力は学部生のランキング4位で、第1期学部卒業生の平均初任給は1万547元と、学部生のすべての専攻の中でトップだった。

コンピューターサイエンス、AI、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)、電子通信、バイオテクノロジーなどの主要な新しい工学系専攻の就職競争力は引き続き優位性が突出し、3年連続で高い水準を維持した。同研究院のデータでは、工学系専攻の学部卒業生が希望する賃金は平均7022元で、平均値を800元近く上回る。これは主に新インフラ整備が勢いよく発展していることと関係があると考えられる。同報告によれば、この分野全体で100万人単位の人材が不足しているという。

ホワイトカラーのポジションが中心の雇用市場で、短大・高専の卒業生は劣勢に置かれることが多い。しかし高等職業教育大学(学院)は製造業のコア人材育成拠点として、スマート製造関連専攻の卒業生は引く手あまただ。

人的資源・社会保障部(省)の張紀南部長が先に記者会見で指摘したところによると、21年の雇用に求められる総量の圧力は軽減されず、雇用機会の創出が必要な都市部で新たに増加した労働力は引き続き1500万人前後に達し、今年の大卒者は909万人に上り、過去最高を更新した。同時に、構造的問題が引き続き突出し、就職難と求人難がともに存在する。製造業、サービス業の一般労働者がなかなか集まらず、技術者が不足し、技術者・技能労働者の求人倍率は2を超えている。

同報告によると、中国には現在、産業用ロボット技術、スマートコントロール技術などスマート製造に関連した高等職業専攻が150以上あり、セキュリティ技術・管理、電機・電器技術、デジタル制御技術などに関連した専攻はいずれも短大・高専のランキング上位30に入った。

このほか、ここ数年は動画コンテンツとライブ配信産業の急速な台頭が、汎娯楽分野の人材ニーズを直接拡大させ、短大・高専の芸術関連の専攻が強い勢いを示し、8つの専攻がランク入りした。そのうち演劇・映画公演専攻は5位、ランク入りした専攻の卒業生の平均初任給は6千元を超えた。

「専攻のマッチング」は雇用の絶対的ハードルではなくなった

ここ数年、新技術や新モデルが次々に登場するのに伴って、雇用市場に数多くの新職業が登場した。若者に広く人気のあるニューメディア運営士、インターネットマーケティング担当者(ライブコマースのパーソナリティ)、エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)プレイヤーなどがあり、学校を卒業した人の選択肢がますます多様になった。

技術が高速でアップデートされ、社会の分業がますます細分化し、新職業が次々誕生するなどさまざまな要因が、若者の職業選択に影響を与え、「専攻とのマッチング」が今や雇用の絶対的ハードルではなくなった。

同研究院の常濛院長は、「激しい競争と急速に変化する外部環境を受けて、雇用主は採用候補者の基本的な教養と学習能力に対する要求を絶えず引き上げていることがわかった。読み書きの能力、表現能力、データ処理能力、論理能力などをはじめとする基本的な教養は、キャリアアップの中で長期にわたり価値を提供でき、高等教育と学生個人の発展においても、より重視されるべきだ」との見方を示した。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年7月12日 

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング