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「博物館の街」と呼ばれる四川省成都市の魅力とは?

人民網日本語版 2021年05月28日13:24

四川省成都市で暮らす90後(1990年代生まれ)の張さんは、国際博物館の日だった5月18日に、微信(WeChat)のモーメンツに、「今日、武侯祠や金沙遺跡、杜甫草堂博物館などを一気に巡った。博物館もこんなにハイテク感に満ちているんだとびっくりした。深みある歴史文化やユニークなイベントが盛りだくさんで、有意義なイベントが開催されている。成都市の博物館はとてもグローバル化が進んでいる」と書き込んだ。実際には、張さんの書き込みは、成都市の各博物館を巡るのが好きな市民らの縮図に過ぎない。

杜甫草堂博物館

深みある文化や高い経済水準が後押しとなり、成都市には博物館建設や発展の基礎が築かれている。同市で一番初めに創設された現代博物館は、1914年に創設された華西協合大学古物博物館。それから長年の発展を経て、同市は、三国志ファン必見の成都武侯祠博物館や中国国内外の漢詩ファン必見の成都杜甫草堂博物館、アジア最大の昆虫博物館「華希昆虫博物館」などを有するようになった。

成都市文化広電旅游(観光)局博物館処によると、同市には現在、博物館が160館ある。うち、国有博物館が50館、非国有博物館が110館。博物館の総数は中国全土で2番目に多く、非国有博物館の数と質は中国全土でトップだ。同市は名実ともに「博物館の街」なのだ。2018年の成都市の常住人口1633万人を基準にすると、人口10.2万人当たりに博物館が1館あることになり、先進国の水準に近づいている。

武侯祠博物館

では、成都はなぜ、「博物館の街」となったのだろうか?

中国国家文物(文化財)局の元局長である単霽翔氏は、成都に深い思い入れがあり、特に2008年の四川大地震後の3年間、文化財の修復のために、同市に29度も足を運んだという。そんな単氏は、「四川の文化財当局は素晴らしい。2008年には震災後の復旧を進めると同時に、文化財の調査も止まることなく行った。その他、余震が続く中、2万人以上が、金沙遺跡博物館の大広場に行き、武侯祠や杜甫草堂などもたくさんの市民を受け入れた。それらはとても印象深い」と感慨深く語る。

金沙遺跡博物館の最も有名な文化財「太陽神鳥」が、中国文化遺産のシンボルとなったのは、単氏の後押しがあったことと無関係ではない。単氏は、「金沙遺跡は21世紀最初の中国における考古学的大発見。2000年以上前の古蜀人が作ったもので、とても神秘的だ。太陽神鳥は、非常に上品で存在感を放ち、動きを感じさせる文化財なので、中国文化遺産のシンボルに推薦した」と説明する。

金沙遺跡博物館

また成都市には国家級博物館が20館あり、うち非国有博物館は10館だ。統計によると、現時点で、成都市の博物館には、基本展示が300展示以上あり、臨時の展示会が220回以上開催され、来場者数は年間延べ2550万人以上に達している。博物館は既に、天府文化を発信する重要な窓口、市民にサービスを提供する文化の高みとなっている。

成都市の博物館は数多くの賞も受賞してきた。例えば、武侯祠博物館は、「2019中国博物館イノベーション創出度トップ10——文化旅行ブランドIP伝播賞」を受賞し、金沙遺跡博物館は、第一陣の国家考古学遺跡公園、「全国で最もニューパワーに満ちた博物館」に選ばれ、成都博物館新館は完成後間もなく「全国で最も影響力のある博物館トップ10」に選出された。そして、それら博物館を有する成都市は、顔面偏差値が高く、奥深さのある「博物館の街」となっている。

張さんのモーメンツを見ると、書き込みのほかに9枚の画像もアップされており、金沙遺跡博物館とニホンジカ、烏木林、杜甫草堂の大きなタブノキの下、草堂書院で読書などの画像がある。友人らからは、「博物館でも大作映画のワンシーンのような画像を撮れるなんて意外」とのメッセージが寄せられている。

成都博物館

成都市の博物館にはそれぞれに独特の美しさがある。例えば、金沙遺跡博物館のデザインは天は円く、地は方形であるという古代中国の宇宙観「天円地方」がモチーフになっている。成都博物館の外壁は銅色の独特な幾何学模様となっており、下から上に向かって金メッキが施されたカーテンウォールで覆われ、クラシカルでありながら近代的な雰囲気が漂っている。

杜甫草堂博物館は、当時の庭園の雰囲気がそのまま残されているだけでなく、館外の浣花渓公園もレクリエーションの場として市民の間で人気になっている。建設中の成都自然博物館は、西嶺雪山を設計コンセプトとして、ユニークな文化的要素が盛り込まれ、エレガントで、オシャレなデザインになっている。

80後(1980年代生まれ)の姚さんも、週末に夫婦で子供を連れて博物館に行くのが好きだといい、「娘はまだ4歳だけど、博物館が大好き。成都博物館の『人と自然:ベーリン氏寄贈品展』が一番好きで、中国国内外から集められた動物の標本をそこで見ることができる」と話す。

成都武侯祠博物館によく行くという女性・張さん(70)は、書道や三国時代文化が好きで、一人で行くこともあれば、友達と一緒に行くこともあるという。「ガイドになって、友人らに、碑や樹木について一つ一つ説明することもできる。『三絶碑』や『出師表』の碑文を、書道で一番よく模写している」と張さん。

中国博物館協会の副理事長を務める、成都博物館協会の朱樹喜理事長は、「2020年、成都市の文化産業の付加価値額は1805億9000万元(1元は約17円)に達し、域内総生産に占める割合は10%を超えた。また、訪れた観光客数は延べ2億400万人で、観光収入は3005億1800万元に達した。その中で、市全域の各級、各種博物館が多大な貢献をしている」と説明した。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年5月28日

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