アロマキャンドルをともし、「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンメラトニン配合のグミを口に含み、手にはぐっすり眠れる安眠グッズを握り、睡眠をサポートするベッドマットに横たわる……これは、地方から北京へやって来た陳睿楠さん(25)が毎晩寝る前に欠かさない「睡眠のための4プロセス」だ。中国新聞網が伝えた。
陳さんは取材に対し、「しっかり眠ろうと思ったら、睡眠サポートグッズは絶対に必要」と話した。
「運動・睡眠白書2021」によると、現在、中国には睡眠障害を抱える人が3億人以上おり、成人の睡眠障害発生率は38.2%にもなる。「眠れない」、「ぐっすり眠れない」、「十分に眠れない」……「不眠に悩む人々」が巨大な層になると、「睡眠経済」も機運に乗じて誕生し、市場での消費者からの人気も高まりを見せている。
睡眠をサポートするグッズ、アロマ、スチームアイマスク、耳栓、枕、ベッドマット……ショッピングプラットフォームには、さまざまな「睡眠サポートの神グッズ」が次々に登場し、売り上げも好調だという。
中国内外の多くの企業が相次いで「睡眠経済」に目を向けるようになり、市場には各種の「睡眠にまつわる画期的な技術」が次々に登場している。睡眠サポートアプリは眠りに誘う効果音を流し、いびきや寝言も記録し、眠りの深さや質をモニタリングする。寝る前のミルク、睡眠サポート飲料が登場し、心を落ち着け、眠りを助ける効果をアピールしている。ホテルの中には世界睡眠デーをテーマとしたホテル宿泊体験イベントを打ち出したところもあり、宿泊客に健康・睡眠サポートスープ、睡眠サポートヨガサービス「頌鉢(祈祷に用いる金属の鉢)音楽療法」を提供する……データによると、中国の睡眠産業の市場規模は今年は4千億元(1元は約16.7円)以上に達し、30年は1兆元を超える見込みだ。
「睡眠経済」の消費者の中心は「95後」(1995年から1999年生まれ)だ。京東ビッグデータ研究院が発表した「2019-2020年オンライン睡眠消費報告」によると、「95後」のユーザーは睡眠関連消費成約額の増加率が最も高く、仕事と暮らしを向上させたいというニーズによる睡眠消費が多いという。
「95後」の馬思雨さんは取材に対し、「温かいミルクを飲んで、メラトニンのサプリを飲み、ホワイトノイズ音を聞き、睡眠サポートアプリを使用する……自分には睡眠障害があると思うので、これまでさまざまな睡眠サポートの商品と方法を試し、睡眠状態を改善しようとしてきた」と話した。
睡眠の問題が若年化するにつれ、健康管理もより多くの若者に重視されるようになってきた。陳さんは、「睡眠グッズのECライブ配信を見るのが、若者の『寝る前の必修科目』になった」と笑った。
寧夏寧安病院(寧夏回族自治区銀川市)寧夏睡眠医学センターの李赓センター長は、「これまでに診察した患者は高齢者が中心だったが、今はますます多くの若者が来院して不眠の治療をしている。うちの睡眠医学センターの外来で昨年診察した人はのべ1万3千人を超え、相談や治療にやって来る患者の中には若い人の姿がたくさん見られた」と述べた。
李氏は、「1週間に3回以上眠れない、かつその状態が1ヶ月続くという場合は、ちゃんとした病院で見てもらった方がいい。睡眠サポートのグッズやサプリを買う時は合理的に判断し、安全を考慮しなければならない。たとえばメラトニンを例にすると、65歳未満の人は一般的にメラトニンを正常に分泌しているので、補いすぎると生物リズムが乱れるリスクが増大し、大量に服用すれば生殖機能に影響するなどの副作用をもたらす」と注意を促した。
また李氏は、「多くの患者の睡眠問題は実は精神的、感情的な問題が原因で、不眠はいろいろある症状の1つに過ぎない。良好な睡眠の習慣を育て、ポジティブな精神状態を維持することこそ、睡眠問題の治療の『最良の処方箋』だ」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年3月24日