シンガポールで新型コロナ感染の女性が抗体を持った男児を出産　中国にも先例

シンガポール紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」の29日付けの報道によると、シンガポールのある女性（31）が3月に家族と欧州に旅行に行った際、新型コロナウイルスに感染した。当時、妊娠10週目で、症状は軽く、入院して約20日間治療を受け、回復した。そして、11月7日に3500グラムの男の子を出産した。出産後、医師が赤ちゃんに新型コロナの検査を実施したところ、「陰性」と判定されたものの、体内には抗体があったという。

新型コロナの抗体を持つ赤ちゃんを出産した女性（画像はシンガポール紙「ザ・ストレーツ・タイムズ」により）

女性は妊娠10週目だった今年3月、欧州を旅行してシンガポールに帰国した後、母親、娘と共に、新型コロナウイルスの検査で「陽性」が確認された。当時、入院したものの症状は軽く、2週間半で退院した。

世界保健機関（WHO）は、新型コロナウイルスに感染した妊婦を通して、妊娠期間や出産時に、胎児または新生児がそれに感染するのかは今のところはっきりと分かっていないとしている。現時点では、羊水や母乳のサンプルから感染力のある新型コロナウイルスを検出したケースはまだ報告されていない。

中国では5月30日に、深センで生まれた男の子から抗体が検出されたケースがある。深センで一人目となる無症状感染者の妊婦が回復後、無事元気な男の子の赤ちゃんを出産。赤ちゃんは、PCR検査は「陰性」だったものの、抗体を持っていた。その後、6月3日、母子共に無事退院した。

内蒙古（内モンゴル）自治区で新型コロナウイルスに感染した妊婦の呉穎さんは、回復から約2ヶ月後の4月8日、無事女の子を出産した。母子ともに2度のPCR検査で「陰性」が確認された。同月12日、呉さんは退院し、一方の新生児は、生理的黄疸のため入院したまま治療を受け、16日に退院した。その後、鄂爾多斯（オルドス）市センター病院で血液検査を行ったところ、新生児に新型コロナウイルスのIgG抗体があることが判明した。主治医師の馬暁寧氏は取材に対して、「新型コロナウイルスのIgG抗体も、胎盤を通して胎児に移行することを示している。IgG抗体は感染防御抗体。ただ、新生児が羊水、体液、血液などを通して新型コロナウイルスに感染するかはまだ分からない」と説明する。

4月14日、北京大学の湖北省支援抗疫国家医療チーム・リーダーグループのグループ長を務めた喬傑院士は取材に対して、「中国国内外の報道をまとめると、新型コロナウイルスから回復した妊婦が出産した新生児のPCR検査はいずれも『陰性』判定。サンプルを分析すると、少数の新生児が母体から免疫グロブリン、つまりIgG抗体を獲得していることが分かった。つまり、新型コロナウイルスに感染し治癒した妊婦が新生児を出産する時、一定の確率で新生児に抗体を提供するということだ。その新生児は生まれた時から免疫力がある」と説明した。（編集KN）

「人民網日本語版」2020年12月1日