中国国家航天局月探査・宇宙事業センターが1日に明らかにしたところによると、中国の「嫦娥3号」探査機が再び新たな成果を上げた。月の「雨の海」の北部に、複数期間の若い溶岩流があると分析・推測した。中国新聞社が伝えた。
2013年に実施された嫦娥3号任務は、中国初の月面軟着陸を実現し、巡回・探査を行った。嫦娥3号は月に着陸してから2453日が経過し、「退役」状態(長期管理段階)になっており、着陸機の一部の科学ペイロードは現在も稼働中。
中国地質大学(武漢)の袁悦鋒博士研究員、朱培民教授、肖竜教授は、長江大学、寧波財経大学などの協力者と共に、嫦娥3号低周波レーダー浅層データを分析することにより、月の「雨の海」の北部の若いエラトステネス代の溶岩流に多期の性質があると推測し、そして構造の変化をさらに絞り込んだ。この研究成果は最近、国際的な学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載された。
以前の研究では、月の「雨の海」の北部の若いエラトステネス代の月の海の物質(Em)が、1期間の厚い溶岩流のみによって形成されたとされていた。科学者は近年、撮影・測量、クレーターの大小の頻度分布、クレーターの浸透深度などを通じ、月の「雨の海」の北部のEmの厚さの変化が大きいことを発見し、一部エリアに目に見えない溶岩流が存在すると推測した。
袁氏らの研究は、LPRルート1の浅層データを再処理し、深さ10−40メートル内で水平方向の連続的な強エネルギー反射を発見した。これは深さ50メートル以上の「雨の海」のインブリウム代最上層の反射と類似している。科学者はレーダーデータの測線沿いを改めて投影し、再び反射の強弱に基づき層状の界面を識別できた。これは嫦娥3号着陸エリアの地下に、多層のエラトステネス代の火山岩が存在するはずだということを示している。
研究結果によると、探査エリア内のEm層の厚さの平均値は約8−12メートルで、「雨の海」の南部の若いEmユニット溶岩流の断面の厚さに近い。これらの厚さはあるクレーター壁に留められている沈積物の厚さとおおよそ一致する。このことから、「雨の海」の北部の第1期エラトステネス代溶岩流を、さらに3期の薄い溶岩流に細分化できると推測された。
科学者はモデルにより、この3期のEm溶岩流がいずれも南西方向から来たとし、Em発祥地を推測、判断した。またEularクレーターには複数回の火山の作用が存在し、そして間欠的に溶岩流を発生させたとした。これらの若い溶岩流の出処を絞り込むためにはさらなる地質の証拠が必要だ。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年9月4日