海水・かん水の脱塩は、水資源不足を解消する重要な手段だが、既存の吸着剤を利用した脱塩方法には二次汚染、あるいはエネルギー消費量が多いという問題が存在する。10日付の国際的な学術誌「ネイチャー・サステナビリティー」に掲載された成果は、未来の低エネルギー消費量の海水淡水化技術の開発に新たなアプローチをもたらした。科技日報が伝えた。
この成果は、廈門(アモイ)大学環境・生態学院の区然雯准教授と豪モナシュ大学の王煥庭教授が共同開発した、高効率かつ低エネルギー消費の吸着剤だ。明るさの調節により、水中の塩イオンをスピーディに吸着し淡水を得るほか、吸着剤の循環利用が可能だ。
同チームは「スピロピラン」と呼ばれる物質が暗闇、もしくは紫外線照射によりプラス・マイナスイオンを持つ状態になり、可視光照射により元通りになることを発見した。さらにこのプラス・マイナスイオンがそれぞれ陰イオン及び陽イオンの吸着ポイントとなり、水中の塩分を吸着し取り除けることが分かった。
新型吸着剤を開発する「インスピレーション」がこうして生まれた。スピロピラン分子をアルミニウム金属の有機枠組み内に固定し、その「暗闇によって陰と陽に分かれ、光が当たると元通りになる」という奇妙な特性を十分に利用し、明るさの調節により塩イオンの吸着と析出を終える。こうすることで淡水を得て、かん水の脱塩と循環利用という二重の目標を達成する。
データによると、現在広く使用されている逆浸透膜法で1リットルあたり2233ミリグラムの濃度の淡塩水の脱塩を行う場合、淡水取得率は70%、水1トンあたりのエネルギー消費量は0.38kWhだ。廈門大学が開発したこの吸着剤で同じ濃度の淡塩水の脱塩を行う場合、淡水取得率は88%、1トンの淡水を作る際の電力消費量は0.11kWhだ。また実験によると、この吸着剤は10回再利用した後も安定的な脱塩性能を維持できる。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年8月12日