北斗衛星測位システムは国家の安全と経済、社会の発展の需要に焦点を合わせ、中国が独自に開発、運用している衛星測位システムで、世界中のユーザーに、24時間全天候下で、高精度の測位、ナビゲーション、時刻配信などのサービスを提供する、中国の重要な宇宙インフラとなっている。では、北斗の測位システムの精度はどれほどの高さなのだろうか?そしてスマホは北斗とどれほどの互換性があるのだろうか?また一般の人々の生活のどんな分野に北斗が応用されているのだろうか?さらには北斗はどれほど多方面に応用され、私たちの生活とどれほど密接な関係があるのだろうか?中央テレビニュースが伝えた。
北斗の測位システム
測位は衛星測位システムが提供する基本的なサービスだ。北斗の測位精度は、世界では10メートル以下、アジア太平洋地域では5メートル以下となっている。高精度のピンポイント測位は北斗の特色ある高精度のサービスで、静的な場合はセンチメートル級、動的な場合はデシメートル級の高精度サービスを提供することができる。
北斗の時刻配信
時刻配信も、衛星測位システムの基本的なサービスだ。北斗は世界中に、誤差20ns以内の精密な時刻配信を行っている。アジア太平洋地域を見ると、誤差は10nsと精度が一層高くなっている。1nsは10億分の1秒だ。
北斗のショートメッセージ送受信機能
ショートメッセージ送受信機能は、北斗独自のものだ。海上でスマホの電波が受信できなくなったり、災害が発生して通信障害が生じた場合でも、北斗の端末を利用してショートメッセージを送受信することができる。中国やその周辺地域では、この機能を使って、1度に最大漢字1000文字を送受信できる。世界のその他の地域では、同機能を使って、1度に最大漢字40文字を送受信できる。現在、中国の漁船・公船7万隻以上が北斗端末を搭載している。事故に遭った時などに漁船からショートメッセージを送って救助を求めることができ、これまでに累計1万人以上が救助された。
北斗のチップ
中国国産の北斗のチップは長年の発展を経て、その単価が100元以上(1元は約15.2円)から6元未満にまで下がった。2019年末の時点で、中国国産の北斗測位型チップモジュールの出荷量は1億個を超え、第1四半期当たりの出荷量も1000万個を超えた。2019年末の時点で、中国国内の衛星測位システムの端末製品の販売数は4億6000万台を超えた。現在、スマートフォンを含めて、北斗の互換チップが採用された端末製品の社会保有台数は7億台(セット)を超えている。
北斗のスマートフォンでの応用
スマートフォンは、衛星測位システムの主要な応用分野の一つだ。現在、中国国内外の大手チップメーカーは、北斗と互換性を持つチップを販売している。2019年末の時点で、中国国内で販売された衛星測位システムの端末製品4億6000万台のうち、衛星測位システム機能を搭載したスマートフォンの台数は3億7200万台に達している。2019年の第3四半期(7‐9月)の時点で、中国市場でネットワーク利用申請が出されたスマートフォンのうち400種類以上が測位システム機能が搭載されており、うち、北斗測位システムをサポートするスマートフォンは約300種類に達している。2020年の第1四半期(1-3月)、中国市場でネットワーク利用申請が出されたスマートフォンのうち、75%以上で北斗測位システムが利用できる。
北斗の交通機関での応用
北斗は、交通などの多くの分野で「標準搭載」されるようになっており、その応用は新たな発展段階に突入している。交通の分野では、現在、中国国内の商用車650万台以上、郵政・宅配車両4万台、36の中心都市の路線バス約8万台、河川の約3200ヶ所の測位施設、約2900ヶ所の海上測位施設などで北斗システムが応用されている。
北斗をスマート農業にも応用
庶民の食卓に並ぶ食材も北斗と関係がある。現在、北斗を活用した農機具の自動運転システムは2万台(セット)を超えている。北斗を活用する農作業モニタリングプラットホーム・モノのインターネットプラットホームでは、農機具・設備10万台(セット)以上にサービスを提供している。
北斗の高精度検知機能
北斗を応用した高精度のガス漏れ検知車が北京市ですでに運用されている。北斗の高精度ガス漏れ検知システムを利用すれば、周囲150メートルのガス漏れをリアルタイムで検知し、その場所を測位システムで正確に特定することができる。
北斗産業
現在、中国の衛星測位・位置情報サービスの分野に携わる企業・事業機関は約1万4000社で、50万人以上がそこで働いている。2019年末の時点で、同業界関連で、上場している企業(全国中小企業株式譲渡システム・新三板を含む)は46社となっている。北斗の高精度・北斗補助高速測位システムのユーザーは5億人を突破している。
北斗の生産額
「2020年中国衛星測位・位置情報サービス産業発展白書」によると、2019年、中国の衛星測位・位置情報サービス産業の生産額は合わせて前年比14.4%増の3450億元に迫り、9年連続で二桁台の伸びとなっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年6月24日