「日本のヤフーと韓国のLINE(ライン)が経営統合し、中米のIT(情報技術)覇権からの脱却をはかろうとしている」。ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)のサイトは19日、このような見出しで日韓企業の大きな動きを伝えた。ヤフーとLINEは18日に合意に達し、ヤフーの親会社の日本のソフトバンクグループ(SBG)とLINEの親会社の韓国のネイバーがそれぞれ50%ずつ出資して、共同で持ち株会社を設立することになった。海外メディアでは議論が相次ぎ、「両社は経営統合に際して少しも野心を隠そうとせず、両者による強強連合で『1億人経済圏』を揺り動かせば、中国と米国の大手科学技術企業に拮抗していける可能性がある」といった見方も出たが、統合を評価しない声の方が多い。「日韓のインターネット企業と中米との開きは非常に大きく、今回の統合がシナリオ通り勝利につながるかどうかはわからない」との分析もある。「環球時報」が伝えた。
中米に次ぐ「第三極」になれるか?
日本のNHKの19日の報道によると、ヤフーの川邊健太郎社長は18日の記者会見で、「(データプラットフォームが)中米に集中しており、1社の力だけでは追いつき追い越すことは難しいので、『提携』して東アジアに(中米に次ぐ)第三極を構築し、世界3くらいを目指すことにした」と述べた。経営統合案はこれから日韓両国で必要な審査を受けるが、目下の日韓関係の影響を受けるかどうかについては、「私どもの分析では懸念する必要はない」としたという。
韓国紙「中央日報」の19日の報道では、これまでずっと両社は日本でモバイル決済サービスをめぐって熾烈な競争を展開し、名実ともにライバル関係にあった。今、両社が経営統合に同意したことは、「同盟を結ぶ」必要に迫られてのことであり、両社の無用な競争をやめるためだ。LINEはチャットアプリやコンテンツの分野で優位に立ち、ヤフーはEC分野に強みがある。韓国の専門家は、「LINEとヤフーとの提携はインターネットと携帯電話端末との結合に相当し、両社はいずれも人工知能(AI)をめぐって核心的配置を進めている。今回の提携により両社は質の高いビッグデータを入手して、米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)、中国のBATH(百度<バイドゥ>、阿里巴巴<アリババ>、騰訊<テンセント>、華為<ファーウェイ>)に拮抗できるようになるかもしれない」との見方を示した。
専門家 1+1<2
ヤフーとLINEは「理想はすごいが、現実はそれほどでもない」状況に直面する可能性もある。両社の時価総額を合わせると約294億ドル(1ドルは約108.6円)で、中国のEC大手・京東集団の478億5100万ドル、検索エンジン・百度の403億7400万ドルと比べても一定の開きがある。グーグルとアマゾンはそれぞれ約9千億ドル、アリババは約4800億ドル、騰訊は約4100億ドルだ。こうした大手とヤフー・LINEの新会社との開きはなお非常に大きく、「第三極」を構築しようと思ってもおそらく力不足で達成は難しい。