6月28日、ナンシー・アムンガさんが「アフリカ起業家研修班」の参加者29人を代表して、阿里巴巴集団(アリババ)の馬雲(ジャック・マー)会長にアフリカムード満点のプレゼントを贈った。
これは長いお別れの後の再会の場面だった。昨年、アリババ本社のある浙江省杭州市から9千キロメートル以上離れたケニアで、馬会長はこのアフリカを変えたいと願うアフリカの若者に国際連合(国連)の研修プロジェクトの卒業証書を手渡した。
今年27歳になる90後(1990年代生まれ)のナンシーさんは力強く人生を歩んできた。わずか24歳で裸一貫から身を起こし、物流企業を立ち上げ、ケニアのEC物流産業の草分け的存在になった。若い女性のビジネスリーダーというだけでなく、英国のウィリアム王子に謁見するなど内外の評価は高い。
ナンシーさんは同18日、アフリカ11ヶ国から来た28人の起業家とともにアリババを訪れ、アリババの研修班「インターネット起業家プラン第3期参加者」の一人になった。研修以外の時間には、中国の宅配便配達員・方豪さんから宅配便について学び、同市で実際に配達も体験した。
ナンシーさんはオート三輪の乗り方をものの数分で習得して、方豪さんを驚かせた。ナンシーさんは最高経営責任者(CEO)ながら、故郷のナイロビでしょっちゅうバイクに乗り、大通から横町まで走り回って宅配便を届けている。今回、ナンシーさんがドアを叩いても、誰もいない家があった。ナイロビならこういう時は荷物を持ち帰り、出直すしかない。そうなると広いエリアに荷物が数個だけということになり、配達の効率が大幅に低下する。
方さんによると、「中国にはたくさんの解決方法がある。宅配ロッカーに預けるとか、受け取りステーションに預けるとかいった方法があり、菜烏の音声アシスタントを使えば人工知能(AI)技術を応用して、自分の代わりに受取人に電話をかけ、配達する前に荷物をどこへ運べばいいかが確かめてくれる」という。
ナンシーさんはスマート宅配ロッカーの前で、「これはいい方法ね」と言いながら、顔認証によるロッカーの開閉を何度も試していた。「この経験を故郷にもって帰り、アフリカ宅配便産業の『ラストワンマイル』の効率やサービス体験を向上させたい」という。
中国のスマート物流はナンシーさんに深い印象を与えた。
ナンシーさんは菜烏の江蘇省無錫市にある中国最大の無人倉庫を視察した。ここは世界で最もスマート化が進んだ物流パークで、ナンシーさんはどこまでも延々と続く無人搬送車(AGV)の作業場を目にし、大きな衝撃を受けていた。
作業ラインでは、ナンシーさんは荷物に張られた電子送り状に大いに興味をかき立てられた。ケニアでは住所はまだ手書きで、情報の不正確さから、受取人がわからなかったり、違う場所に届けられてしまったりするケースもあるという。作業員の説明によると、菜烏は電子送り状を使用するようになって、仕分け効率が50%アップし、産業全体で毎年7億元(約116.6円)の経費削減になったという。
円通速逓の杭州中継センターのロボット仕分けエリアで、ナンシーさんは青いAGVが荷物を載せてきびきび動き回り、全国各地から集まった宅配便を各都市のネットワーク拠点ごとに仕分ける様子を目にした。同センターが一日に取り扱う荷物が数百万個に達すると聞いたナンシーさんは、「信じられない、想像もできない。でもケニアもいつかこのレベルまで発展すると確信する」と述べた。
中国では一日あたりの宅配便取扱量が1億3千万個に達し、当日配達や「分刻み・秒刻み配達」などのスピード配達、さまざまなスマート物流ソリューションがある。ナンシーさんはまったく新しい物流の世界をその目で見た。勤勉で勉強熱心なナンシーさんは、ケニアで中国のプランを実践する方法をすでに考え始めている。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年7月2日
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