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「宅配員ストレス解消ルーム」登場も、うまく機能せず

人民網日本語版 2017年11月10日10:52

国家郵政局の最新統計データによると、宅配業は1日当たりで2億人から3億人の顧客にサービスを提供しており、毎日300万人の宅配員がさまざまな現場で作業を行い、数十万台の各種宅配車両が荷物を運んでいる。宅配業務がピークとなる「ダブル11(11月11月のネット通販イベント)」を控え、これらの宅配員が受ける心理的ストレスについて、速やかに解決策を打ち出す必要がある。工人日報が伝えた。

昨年7月、「宅配員ストレス解消ルーム」が北京にお目見えした。この設備は、ある宅配企業の北京市豊台区方荘にある営業所に設けられたが、この「宅配員ストレス解消ルーム」は、これまでに一度開放されただけという。

〇宅配員の7割、「仕事の重責に耐えきれない」

配達量が日に日にに増え、顧客とのトラブルが頻発するにつれて、多くの宅配員が、かなり大きな心理的ストレスを抱えるようになっている。国家郵政局はこのほど、第三者機関に依託し、宅配員の業務状況に関する調査を実施した。調査対象となった約1千人の宅配員のうち約70%が、「仕事の重責に耐えられない」と答えた。このうち「かなり大きなストレスを受けている」とした人は30%、「大きな仕事上のストレスを抱えている」は28%、「仕事上のストレスに耐えるにはもう限界」は14%を占めた。また、ストレス源として最も多く挙がったのは「報酬・待遇」と「労働時間」で、「顧客との関係」がこれに続いた。

〇新たに登場した「宅配員ストレス解消ルーム」、開放されたのは1度のみ

このような状況から、宅配企業は、宅配員の心理的ストレスをめぐる問題に関心を寄せるようになった。昨年7月、「宅配員ストレス解消ルーム」が北京に登場した。この施設は、宅配員全員に開放されており、マッサージチェア、指圧ボード、ルービック・キューブなどが用意されており、心理コンサルタントが設置した箱庭療法用の箱やアートセラピー用絵画などのストレスを軽減するツールも配置されている。だが、この「宅配員ストレス解消ルーム」は、これまでにわずか1度しか開放されたことがない。同設備を設けた宅配企業の担当者によると、同設備は現在「調整中」という。開放していない理由について、同担当者は明確なコメントを避けた。

専門家の張氏は、「宅配員ストレス解消ルーム」について、次の通り分析した。

「『宅配員ストレス解消ルーム』は、企業が自発的に設ける施設であり、開設・運営・メンテナンスいずれにも経費がかかる。一方、宅配料金の単価は、10年前の平均20元(1元は約17.2円)から現在は3元にまで落ち込んでいる。この料金には、荷物引き取り、1千キロメートル以上の輸送、荷物の配達、さらには再配達の費用が含まれており、ややもすると原価割れの状態にもなりかねない。宅配料金が絶えず値下げを迫られることから、宅配業界には利潤の危機が生まれ、それに伴い宅配員ストレス解消ルームも運営の危機に陥っている」。

一方、「宅配員ストレス解消ルーム」は、利用者である宅配員の間でも人気がない。劉さんをはじめ、取材に応じた複数の宅配員は、「たとえ『宅配員ストレス解消ルーム』があっても、行く気はない」ときっぱりと言い放った。彼らからは、「毎日、配達量が多すぎて、行く時間など捻出できない」、「そんなところに行く暇があるなら、1件でも多く配達してお金を稼ぐ方が良い」などの意見が挙がった。

〇「宅配員ストレス解消ルーム」で根本的な問題解決は可能か?

中国宅配協会法務部の丁紅涛部長は、「愛と関心に溢れた対応措置としての『宅配員ストレス解消ルーム』の創設は、確かに評価に値する。だが、根本的な問題解決策とは決して言えない。鍵となる対策は、やはり宅配員の業務量軽減、収入増、宅配代金の値上げに尽きる」と指摘した。

某宅配大手の広報部副総監は、次の通り述べた。

「第一線で働く宅配員の利益を保障するために、各営業所は一般的に、合理的な休暇の調整、報酬アップ、福利厚生の充実などの措置を講じている。また、多くの営業所では、宅配員の報酬について、『基本給プラス歩合給』という報酬システムを導入しており、合理的な基本給をベースとして、多く働いた分だけ歩合給が増え、上限は設けていない。宅配量が増加し続けるにつれて、宅配員の収入もそれに応じて増加する。このような方法は全て、『宅配員はその労働量に応じた報酬を得られるよう保証する』という目標を実現するための措置だ」。

また、中国宅配協会の丁部長は、以下のような見方を示した。

「宅配員の心理的ストレスの大きさと宅配業界全体のスピード成長との間には、密接な関係がある。また、宅配業界の発展は、都市の総合交通システム・道路利用・都市管理・団地内宅配物受取施設など、各過程における連携やサポートが切っても切り離せない。宅配サービスにおいて問題点やトラブルが頻繁に発生することで、宅配員が過大なストレスを受けるという状況は、関連する管理体制の問題を浮き彫りにしており、社会資源によるサポートや消費者の思いやりや理解が必要となる。一方、宅配員自身も、個人としてのスキルを高め、交通ルールを守り、顧客とのコミュニケーション技術を学ぶと同時に、仕事上のストレス緩和に努め、それを自身の成長のためのプラスエネルギーに転化するようにしなければならない」。(編集KM)

「人民網日本語版」2017年11月10日

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