2017年重慶国際マラソン
スポーツの域を超えて多方面にメリットのあるマラソン
北京のマラソン愛好者・王さんは、マラソンやジョギングが人気の理由について、「走るのには場所も選ばず、道具もほとんどいらない。性別、年齢も関係なく、いつでもできる。雨が降ったときは、ルームランナーを使えばいいので、天候に左右されることもない。ランニング用の靴と、それなりの広さのスペースがあればどこでも走ることができる。スピードも自分で調整でき、とても自由」と分析する。中国全国体質健康調査のデータによると、現段階で、中国でウォーキングやジョギングをしている人の割合は、スポーツ人口の60%を占めている。
SNSの普及で、ジョギングもシェアできる内容の一つとなっている。走った距離や時間、走る予定などをアップし、「いいね!」を送り合ったり、一緒に走る約束をしたりと、ジョギングに多くの新たな楽しみが加わっている。ジョギングのベテランである王さんも、微信(Wechat)のソーシャル機能「モーメンツ」やスポーツ系アプリを使って、走った記録をシェアするのが好きだという。「自慢したいという思いもあるが、自分に発破をかける方法の一つでもある。忍耐強い健康的な私の様子をみんなに見てもらいたい。ジョギングの様子や記録などをアップしているのだから、絶対に続けなければならない」と王さん。
主催者やスポンサーにとってマラソンは確実に「儲かる」イベントとなっている。マラソン愛好者は一年中走り、大会に参加し、大会の参加者は数百万人規模にもなる。さらに、ジョギングクラブや関連アイテム、アプリなどが利益の循環モデルを構成し、ジョギングはスポーツ産業の新たな「ブルー・オーシャン(まだ競争のない未開拓市場)」となっている。取材では、マラソン愛好者はアイテムなどにもこだわりがあり、「適切なアイテムを揃えるのが、科学的に走るための第一歩」としている人が多いことが分かった。
マラソン大会の開催地にとって、大会はその街を宣伝するのに良い機会となる。今年の成都マラソンでは、コースにミュージックステーションが8ヶ所設置され、川劇(四川省の伝統芸能)、ロック、ラップなどを通して、「金沙文化」、「三国文化」、「パンダ」などが紹介された。主催側の責任者によると、「大会を通してマラソンの魅力、成都の歴史・文化、都市の風貌をPRしたい。スポンサーや都市、マラソン愛好者、市民、みんなにとってメリットがある」という。
マラソン大会を通して、一人でも多くの人がスポーツや健康に対する関心を持ち、それに参加するようになってもらうというのが、各地の自治体がマラソン大会を開催する主な目的の一つになっている。成都市体育局の責任者によると、今年はスポーツ関連のイベントを少なくとも2400本企画し、市民がスポーツを通して体質を向上できるよう促進しているという。また、成都市は、周りに樹木があるジョギング用の道を500キロ作る計画だ。さらに、第13次五カ年計画(2016-20年)の終わりごろまでに、市民がスポーツを楽しむことができる場所を市全体に設置し、都市なら半径15分以内、農村なら半径5キロの範囲で市民に公共スポーツサービスが提供できる環境を整える計画だ。
中国国家体育総局陸上スポーツ管理センターの杜兆才センター長は、「現在、マラソンは単なるスポーツという域を超え、経済生産力、文化発信力、社会の親和性、政治的影響力が一体化した総合型民生プロジェクトとなり、『健康中国戦略』を促進する上で重要な役割を果たすようになっている。マラソンは現在、私たちの生活、都市の構造を変え、中国人のスポーツ・健康に対する観念をポジティブな方向へと牽引してくれている」と分析している。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年9月27日
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