「海外メディアがみる江西2016」の中国や海外の記者約40人が今回訪れた江西省■源県(■は矛へんに夂の下に女)エリアの伝統的な建築様式はそのほとんどが徽派建築となる。特徴は白い壁にダークグレーの瓦屋根、レンガや木、石による見事なまでの彫刻だ。この他にも知っておくと面白い徽派建築のミニ知識をいくつか紹介してみよう。
●お金も水も逃がさない!
「天井」と呼ばれる天窓(写真1)の下には必ず水甕(写真2)が置かれており、さらにその甕を取り巻くように水路(写真3)がある。これは一つには明り取りの天窓から流れ落ちる雨水を防火用に貯めるため。昔の人々の暮らしに欠かせなかったお金と水、これを貯める意味で甕には「聚財■(財を集める甕の意、■は缶に工)」という名がついている。そしてそれを囲むように張り巡らされている水路は錠前をイメージしており、これで「お金も水も外に逃がさない」という意味が込められているのだ。
●縁起が大事!
入り口をくぐると床に一見すると模様のように見える石の彫刻(写真4)が彫られている家屋がある。これは「福」の字を「鳳凰(左側)」と「龍(右側)」という縁起の良い生き物で描き、さらにその周りを蝙蝠4羽が囲むように彫られている。蝙蝠の「蝠」の字の中国語の発音は「福」と同じため、縁起の良い生き物とされている。これで合わせて5つの「福」を表すため、「五福臨門(5つの福が訪れる)」と呼ばれる。そしてこれを入り口に配置することで、福を呼び込むのだ。
●置物にも隠された意味が!
客間にはテーブルとイス2脚が置かれ、その背後に置かれた棚には「鐘(時計の意)」、「花瓶」、「鏡」が並べられている。実はこれにも意味があり、この3つを並べて「鐘声瓶鏡(声は時計の音の意)」とすると、ちょうど「一生穏やかに暮らす」という意味の「終生平静」という言葉と全く同じ発音になる。何気なく置かれているような置物にも、そんな願いが込められているのだ。
この他にも家具の置き方や、彫刻の模様などで、住人の家族構成から性別までわかったりする。言葉遊びのような縁起かつぎだが、これらを知った上で建築物を見てみると、またひと味違った楽しみ方ができるかもしれない。(文:玄番登史江)
「人民網日本語版」2016年12月3日
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