火星移住は可能か? 実現の課題を分析
注目を集める火星への移住計画「マーズワン・プロジェクト」に、世界から8万人あまりの参加申込者が殺到している。主催者側は、「最終的に選出された4人は、2022年までに火星に向けて出発し、翌年には火星に着陸する予定だ。ただし、火星に到着しても地球に帰還する手段はない」と発表した。人民日報が伝えた。
人類は1960年代から火星探査を開始し、現在までに30基を超える火星探査機が到達している。現在、探査機の打ち上げ、地球から火星までの軌道のコントロール、正確な定点着陸といった技術は成熟している。そのため「マーズワン・プロジェクト」は一定の実行可能性を持つが、さまざまな難題にも直面しており、その複雑さは計画者の想像をはるかに上回っている。
まずは大型打ち上げロケットの開発だ。米国は低軌道の輸送能力が100トンに達する大型打ち上げロケット「サターンV」を使用し、重さ約50トンのアポロ宇宙船を何度も打ち上げている。しかし有人火星宇宙船の重さは、有人月探査機を上回るため、サターンVの推進力を上回る大型ロケットを開発しなければならない。
次に、長期的に単独飛行できる、有人火星宇宙船を開発する必要がある。人類は現在、地球を巡り運行する衛星型宇宙船、月に向かう月面着陸船しか開発しておらず、その単独飛行時間はせいぜい10数日間だ。有人火星着陸船は単独で数百日間飛行する必要があり、技術面の課題とコストが前者を大幅に上回る。
さらに、火星に向かう途中では、長期間の無重力状態により船員の筋力低下や骨粗しょう症といった一連の問題が生じるが、今のところ、薬の服用やトレーニングといった既存の方法では理想的な効果が得られていない。無重力によるマイナス影響を克服する最良の手段は、人の手により重力を生み出すことだ。これは技術面の課題により、現在までに実用化されていない。