動き出す上海自由貿易区 香港は安泰か
国務院はこのほど上海自由貿易テスト区の建設を正式に認可した。同テスト区の28平方キロメートルの土地の上で、これから貿易自由化、金融イノベーション、政府職能の転換などが次々に展開することになる。今回の認可は新指導部が中国経済の「バージョンアップ」をはかる上での重要な措置であり、その影響は深く大きい。人民日報海外版が伝えた。
上海自由貿易区の狙いは「ミニ香港」を建設することにある。香港のある財政経済関係メディアによると、同区は金融業とサービス産業の発展に力を入れる計画で、基幹産業は香港と同じだ。優れた成果を挙げるようになれば、香港にとっては有力な競争相手になる。
(1)圧力は少なくない
商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院の白明研究員によると、上海自由貿易区は一定の間、香港に圧力をかけることになる。業務が重なり、産業構造が似ており、香港の業務の一部が上海に流れ込むことは避けられない。だが長期的にみれば、こうした動きは大陸部にとっても香港にとっても好材料だといえる。大陸部に「リトル香港」を建設することは、小さいパイを大きくするプロセスにほかならないからだという。
同区の管理細則は最終バージョンがまだ発表されていない。外部ではさまざまな情報に基づきさまざまな予測がうち出されている。金利が市場化する、為替相場が市場化する、試験的に人民元の資本項目が完全に開放される、などだ。白研究員によると、管理規則が最終的にどのようなものになるにせよ、同区は常に「開放」という意義を備えているべきであり、「開放」こそが自由貿易港の香港にその役割を存分に発揮させているのだという。
白研究員はさらに次のように説明する。これまでは大陸部市場が閉じられていたことが、香港が飛躍できた重要な原因だった。だが閉じられた市場は小さなパイに過ぎない。この市場は今や開放され、チャンスはより多くなり、パイも大きくなった。たとえば、上海で投資を行う香港企業は多く、同区が開放され、利便化されれば、香港企業もメリットを活用でき、ビジネスチャンスにもなるという。