外国為替管理局 ホットマネーの大規模流入を否定
人民元の対ドル相場はこの1カ月あまりで15回ストップ高となった。このような状況は、2005年に人民元が管理フロート制に移行して以来初となる。これを受け、「人民元の連日のストップ高はホットマネー流入によるもの」との噂がささやかれた。しかし、外国為替管理局の関係者は21日、この噂を否定した。北京商報が伝えた。
10月下旬以降、人民元の対米ドル相場は突然上昇し始めた。人民元の対米ドル現物為替相場は10月25日、初めて1日の許容変動幅(1%)の上限に達した。さらにその後10営業日の間に、計14回のストップ高を記録し、18年ぶりの高値を記録した。今年7月下旬に1ドル=6.3967元の安値を付けて以来、上げ幅は2.6%に達する。
相次ぐストップ高に、ホットマネーへの懸念が引き起こされている。あるアナリストは、「米国が9月13日に量的緩和第3弾(QE3)の実施を表明して以来、ドル安期待が高まり、他通貨が強制的に上昇し、大量のホットマネーが新興市場に流れ込んでいる。経済が徐々に回復しつつある中国はホットマネーの主要ターゲットとなった」と指摘する。
外国為替管理局の責任者はこれについて、「主な先進国が相次いで大規模な金融刺激策を講じたことや、ソブリン債務危機の前向きな展開、中国の輸出増加の加速、経済の底打ち・回復の兆しなどに伴い、中国の資本流出や元安に対する市場の懸念・緊張がやや和らいだ。しかし、統計データを見る限り、国外からの資本流入圧力が著しく高まっていると判断することはできない」とした。
外貨決済状況を見ると、10月、中国銀行業の代理為替決済における外貨購入額は前月比9.1%減、外貨売却額は10.6%減、78億ドルの買い越しとなり、買い越し額は前月比15億ドルの小幅増となった。しかし、10月の長期為替決済契約は売り越しのままだった。クロスボーダー收支を見ると、10月の域内銀行のクロスボーダー収入は前月比4.9%減、支出は6.3%減となり、赤字は53億ドルで2カ月連続の小幅流出となっている。
外国為替管理局の責任者は人民元の上昇について、「中国経済と金融の見通しをめぐる市場心理は最近、悲観から楽観に転じ、これが人民元の上昇をもたらした。全体的に見て、国内市場の外貨の需給は基本的にバランスを保っており、人民元相場に関する見通しも基本的に安定している。中国の国際収支は引き続きバランスを保つだろう」とした。
国際経済問題専門家の趙慶明氏は「中国の不動産市場の調整政策は依然として厳しく、A株市場も引き続き低迷しており、人民元上昇の余地は限られている。利子率格差のメリットだけでは大量のホットマネー流入が起こることはない。また、中国は資本項目管理制度をとっている。ホットマネーが大陸部市場に流入するのは難しい」と指摘した。(編集SN)
「人民網日本語版」2012年11月23日