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厳俊さん |
授賞式の後、厳俊さんは当時の様子について、「台風が通過した直後の9月16日、大阪市内を流れる淀川の土手をランニングしていた。台風の影響で淀川の水位が上がり、いつも走っている川沿いの細い道は、完全に流れの速い川の一部となっていたため、土手の上を走らざるを得なかった」と話した。この時、川辺で写真を取っていた9歳の男の子が誤って川に落ち、下流に流された。
助けを求める声を聞いて、厳俊さんを含む周りにいた人たちが集まってきた。川に落ちた男の子の友人数人が彼を追いかけて下流に向かったが、川に入って助けることはできなかった。厳俊さんは、岸にいたままで男の子を助けることができないと判断し、水に飛び込み、男の子の身体を掴み、引っ張って岸辺に連れて戻ろうとした。しかし、川の水が速すぎて、うまくいかなかった。
川の水を飲んでむせ、このままでは体力がもたないと感じた厳俊は、やむを得ず、いったん岸辺に引き返した。川に落ちた男の子は、100メートルあまり流されたが、水中にあった木の枝に引っかかったのが不幸中の幸いだった。岸にいた他の人々は、男の子に向けてロープを投げ、そのロープで男の子を岸まで引っ張ろうとしたが、ロープは水中を漂うだけだった。そこで厳俊さんはシャツを脱ぎ、ロープを自分の身体にくくりつけ、再び川の中に入った。岸辺にいた人と協力し、片手で男の子を掴んで助け出した。岸辺にいた人が警察に通報すると同時に救急車を呼び、男の子はすぐに病院に搬送され、生命の危険から脱することができた。
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