北京、大気汚染防止法の厳格化で罰金上限100万元廃止
「大気汚染管理は決して政府だけに任せられた仕事ではない。公共管理とは、政府、企業、市民が各自の責任を担い、互いに監督し、共同で管理することを意味する」--。北京市人民代表大会法制委員会の王徳林・副主任委員は25日午前、市人民代表大会常務員会会議で北京市大気汚染防止条例草案の修正作業について説明した際、このように語った。草案第2稿には、上述の「公共管理」をめぐる概念を説明する章が新たに設けられた。北京日報が報じた。
王委員は、「草案の原稿では、『大気汚染防止は予防を中心とし、予防・改善を組み合わせる』という原則が定められた。委員と代表は草案審議のプロセスで、北京の大気質の厳しい現状と国家新基準との間には、かなり大きな隔たりがあるという認識を持っていた。総じて緊迫しているという認識がなく、的確さ・有効性が低かったことは否定できない。今回の修正では、『発生源から末端に至る全過程でのコントロールを実行する』『汚染源が誰であれ、管理・改善者が誰であれ、厳格に管理し、違法者を厳しく罰し、違法行為によるコストが違法により得た利益より高くなるようにする』など、7項目の原則が定められた」と述べた。
修正草案で最も注目されるのは、「公共管理」に関する1章が追加されたことだ。ここでは、政府、汚染物質排出企業、市民それぞれの責任が明確に示されている。特に、「人口増加と車両増加の抑制」「目標達成期限の設定」「排出基準の制定」「淘汰リストの作成」「排出削減奨励策の制定」「汚染物質排出料の徴収」「突発事件の対応処理」「科学技術応用の支援」「PR強化」「生態建設の強化」「地域別の予防改善」「責任査定」など、政府責任の明確化が試みられた。
修正草案では、大気汚染管理における市民の責任と権利をめぐり、以下の規定が新しく追加された。
○市民は、法律に依り、大気環境に関する情報を獲得し、大気環境保護事業に参与・監督する権利を有する
○市民は、市・区・県の人民政府および環境保護など関連部門に対し、大気環境の品質・大気環境の観測結果・突発的な大気環境事件および大気環境に関する行政許可・行政処罰・排出汚染費の徴収と使用・大気環境の質に関する期限付目標達成状況・汚染物質排出に対する期限付改善状況など各種情報を公開するよう請求する権利を有する
○市民は大気環境を汚染する企業や個人について、環境保護行政主管部門またはその他の部門に告発する権利を有する
○特に、大気環境汚染によって損害を被った市民は、法に依り汚染物質排出側に対し、権利侵害責任を追及し、危害の排除と損害賠償を求め、必要な場合は、裁判所に直接裁判を起こす権利を有する
環境保護分野の「法律に違反したことで生じるコストが、法律を守るためのコストより低い」という問題について、修正草案には、「厳格な管理」が反映されている。違反者を厳重に処罰するための法律の立法化を原則とし、法に依り行政部門の職務・調査・処罰の不履行に対する責任を徹底的に追及することが明文化された。草案初稿では処罰免除となる状況が8種類定められていたが、それを3種類に減らすと同時に、罰金の上限額100万元(約1600万円)が廃止された。審議に携わった委員・代表は全員、これに賛成の意を示し、大気汚染法における処罰は、厳しく確固たるものであるべきとの共通認識に達した。
王委員は、「修正草案は、常務委員会第2審において通過・採択されたが、大気汚染防止法は、あらゆる人の利益と密接な関係があり、社会各界が高い関心を払っている。各方面の意見を十分に取り入れるため、同法を来年初めに開催される市人民代表大会に提出して第3次審議に諮り、同会で全体市人民代表大会代表の採決に持ち込む計画だ」と語った。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年9月26日