世銀総裁、中国の環境保護対策を高く評価
中国経済はこの30年あまり、急成長を続け、5億人以上が貧困状態から抜け出し、今では世界第2の経済大国となった。中国のような大国がこのような業績を上げられたことは、非常に注目に値することだが、一方で、急成長がもたらした環境へのマイナス影響も、日ごとに顕著化している。(文:ジム・ヨン・キム世銀総裁)
地球の気候変動は、現実的な真の脅威といえる。抑制しなければ、長年に及ぶ発展が後退に転じることになる。干ばつ・洪水災害や暴雨・森林火災などの極端な気象現象が発生する頻度が、過去数十年間で増加している。このうち、気候変動と密接に関連しているものも少なくない。世界銀行(世銀)がこのほど発表した報告によると、世界各地の気温上昇により、特大災害発生の可能性が高まり、世界各地の人々の健康と暮らしに対する脅威が日ごとに強まっている。我々が今すぐ対策を講じなければ、今後20年から30年の間に、世界の気温は大幅に上昇し、農業生産・水資源・沿海の生態系・コミュニティに対して壊滅的な影響がもたらされる恐れがある。
気候変動への対応は、世銀の最重要任務のひとつである。我々は、各国の温室効果ガス削減政策を可能な限り支援すると同時に、各種重大気候や極端な気象現象に対する準備も万全に整えていく。我々は、世界各国、各機関、民間団体、その他各方面と提携し、共に努力を重ね、解決方法を模索していく。
中国は、領土が広く、人口が多く、直面している課題は極めて大きい。だが喜ばしいことに、中国政府は大々的な措置を講じ、それらの困難な課題に真正面から取り組んでいる。中国は、単位GDP当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を2020年までに2005年比40-45%削減し、一次エネルギー消費に占める非化石エネルギーの割合を2020年までに約15%とするという目標を定めている。中国は、小型水力発電所開発と風力発電の設備容量分野で世界の最先端を行っており、風力発電の設備容量は2012年時点で6266万キロワットに達した。中国における1990年から2010年までの再生可能エネルギー消費量は、全EU加盟国の総量に相当している。
世銀は過去20年間、中国がクリーン・エネルギー技術を大々的に導入し、実施を進めるよう協力してきた。現在は、中国がCO2排出権取引試行を展開し、より経済効率が高い方法でグリーン発展目標をクリアできるよう協力している。世銀が中国で進めているプロジェクト125項目のうち、気候変動への対応を重点とするものが過半数を占めている。
世界各国は、中国の実践経験から多くの教訓を得ることができる。世界各国が解決方法を模索する中で、中国がより大きな役割を果たすために奮闘していることに、我々は大いに刺激され、鼓舞された。世銀は今後も、中国に対し惜しみない支援を続けていく。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年9月17日