中日関係を後退させる、逆行の安倍内閣
「週刊!深読み『ニッポン』」第50回「週刊!深読み『ニッポン』」
2006年の第1次安倍内閣時のように傷ついた中日関係を再び修復することを、首相に返り咲いた安倍晋三氏に期待するのは、一方的な願望となるのかも知れない。
自民党総裁選(2012年9月)、衆院選(2012年12月)、参院選(2013年7月)において、政治家は選挙戦上の必要から、中国を対象に若干の攻撃的発言を行なった。これは日本の選挙戦における常套手段のようであり、有権者が本当に中国との対立を望んでいるとは限らない。また、政治家が中国を攻撃対象と見なしても、タブロイド紙のネタを増やして、注目を集めるだけだ。
だが参院選大勝後、日本の一部政治家はより激しい手段によって、より重要な原則的問題において周辺国との関係に挑戦状を突きつけている。これは全く異なる結果をもたらす可能性がある。
われわれは安倍首相の「歴史修正主義」を批判するために何ら紙幅を割きはしなかった。米国などの学者の方が、従軍慰安婦問題や侵略戦争の性質の問題で、安倍内閣を多く批判した。安倍首相と歴史観が全く同じ橋下徹大阪市長は、まさに従軍慰安婦発言のために訪米の招待を取り消され、自ら米側におわびすることになったのだ。安倍首相自身も2006年の訪米前に米誌ニューズウィークのインタビューで、この問題について日本の責任を明確にし、おわびの意を表した。そうしてようやく米国に行くことができたのだ。安倍首相は慰安婦問題において健忘症を患うことがあるらしく、一時期盛んに発言していたが、米国に2006年の発言を持ち出されて、ようやくこの件への言及を止めた。侵略の定義に関しては、すでに国会で発言を修正した。修正は非常に無理があったが、結局はこの問題への直接の言及を止めたのだ。