村山元首相「日本には日中関係の膠着状態を和らげる責任がある」 (4)
■日本国民は安倍内閣の右傾化を許さない
記者:中国では村山元首相は「中国の友人」「良識ある政治家」と称されています。漁師家庭の出身でいらっしゃることもその1つの要因ですが、現在日本の政界は世襲制が深刻なうえ、頻繁に首相が交代しています。どうしてこのような変化が生じているとお考えですか?
村山元首相:原因は一言では言えません。選挙制度自体にも一定の問題があります。以前は中選挙区制度でしたが、現在は小選挙区制度を実施しています。1つの選挙区から1人しか当選できないため、政治家の子を議員に選んでこそまあいけるだろうと考える有権者もいます。有権者の判断であり、かつ優秀な人が当選するのでさえあれば、たとえ「世襲」でも別に悪いことではありません。有権者の判断を尊重してこそ、民主的な選挙制度を維持できるのです。
もちろん短命政権、頻繁な首相交代はよくありません。現在日本は変動期にあります。長年の間、日本はずっと自民党政権でした。しかし自民党は汚職を含む問題を抱えているため、日本国民は民主党が政権に就くことを期待し始めました。しかし民主党は経験不足で、内部分裂もあり、十分な政権運営力がありませんでした。現在日本政界は群雄割拠の時代に入っていると言えるでしょう。みんなの党、日本維新の会などが続々と登場しています。現在の自公連立政権は3年前後は続くことができるはずだと私は見ています。
記者:安倍内閣は右傾化しつつあるとの考えがありますが、どうお考えですか?
村山元首相:実際には、彼らがこのように右傾化していくことを日本国民が許すかどうかを見なければなりません。安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を呼びかけています。日本の戦後の政治体制は間違っていると考えているのです。何が間違っているのか?憲法です。だから憲法改正を主張しています。しかし注意深く考えてみると、第2次大戦終結から現在にいたるまで、日本の自衛隊が銃を持って人を殺したことはありません。これは日本の歴史においても初めてのことです。日本の戦後の経済的繁栄は次第に他の国々から認められ、「日本は優秀な国だ」と称賛されるようになりました。日本国民もこれに深い感慨を覚えました。原爆による攻撃を受けて以降、日本全体が二度と戦争を発動してはならないと心底反省しました。平和憲法に守られて、日本は朝鮮戦争やベトナム戦争に参加しない権利を持ち、また幸いにも参加しないですみました。これらはいずれも「平和憲法」があったおかげです。ですから日本は「平和憲法」を守らなければならない、日本国民もそういう気持ちです。したがって、安倍内閣がそう簡単に右傾化路線を歩むことはないだろうと私は考えています。この点において、私はやはり日本国民を信じています。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年2月18日