西蔵代表団、「高原対応型圧力鍋」がもたらした喜びを語る
全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議全国委員会)の会期中の西蔵(チベット)自治区代表団7日の公開された会議で、全国人民代表大会(全人代)の代表を務める、西蔵自治区那曲市巴青県江綿郷坡栄塘村党支部書記の其徳氏は「高原鍋」の物語を紹介した。新華社が伝えた。
其徳氏が暮らす村は標高約4500メートルの場所にあり、水の沸点がわずか85度で、炊飯や調理の時になかなか火が通らず時間がかかるため、圧力鍋が欠かせない。しかし同自治区で一般的に使用されている圧力鍋は平原地域を標準にして圧力が設計されており、西蔵で使う時は圧力が十分にかからず、機能も少ないなどの問題があった。
2022年の春節(旧正月、2022年は2月1日)が終わると、西蔵自治区党委員会の基層調査でこの問題が明らかになり、関係当局は人々のニーズに寄り添い、高原対応型圧力鍋を早急に開発し普及させることを求められた。
22年11月20日、年間生産能力100万個を目指した高原対応型圧力調理器具プロジェクトが同自治区で順調に終了して生産が始まり、高原対応型圧力鍋は徐々に自治区全体へ広まっていった。
西蔵(チベット)自治区の農牧民が使用する高原対応型調理器具。(写真提供は西蔵自治区経済・情報化庁)
23年秋、其徳氏の家でもこの新型の高原対応型圧力鍋を使うようになった。「この鍋をとても気に入っている。機能がたくさんあるし、使い方は簡単で、これを使うと料理がよりおいしくなる」と話した。
今では其徳氏の村ではどの家庭もこの鍋を使うようになり、高原対応型スチームボックスや高原対応型ケトルなどを使う家庭もある。
現在、同自治区の50万近くの家庭が地元で生産された高原対応型調理器具を使用し、100万人近くが恩恵を受けている。
今年の政府活動報告では、「発展を求めつつ民生を保障・改善することを堅持し、発展の視点で民生問題の解決を捉え、人民大衆の切実な問題を解決する中で成長エンジンを生み出す」ことが提起された。ここには民生の発展のための知恵が含まれている。
西蔵の「高原対応型圧力鍋」の物語が私たちに示すのは、人々の期待の中で切り口を見いだし、民生の小さな取り組みをしっかりと行えば、人々の悩みを解決できるだけでなく、新たな経済成長ポイントも掘り起こせるということだ。
西蔵(チベット)自治区拉薩(ラサ)市の工場で、作業員が電器製品の組立生産ラインで作業を進める様子。(撮影・周荻瀟。2022年11月28日に撮影)
現在、同自治区では新型の高原対応型調理器具の需要に供給が追いつかない状態だ。自治区は昨年に文書を発行して高原対応型調理器具産業の発展を指導し、小さな調理器具を通じて大きな産業を育成した。それだけでなく、人々からの要望が高い暖房・酸素供給から高原対応型日用小型家電まで、さまざまなニーズに対応するために、同自治区は現在、自治区の実情を踏まえつつ、より多くの高原対応型軽工業が発展するよう取り組みを進めている。(編集KS)
「人民網日本語版」2024年3月9日
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