中米の専門家チーム、「嫦娥5号」月の土壌の成熟度指標を測定
中国地質大学(武漢)が10日に明らかにしたところによると、同大学の肖龍教授のチームは米ブラウン大学やハワイ大学などの科学研究者と協力し、初めて実験室での磁気試験により月探査機「嫦娥5号」が持ち帰った月の土壌の成熟度指標を測定し、同土壌が今まで採集している最も未熟な月の土壌の一つであることを明らかにした。関連成果はこのほど、国際的な学術誌「イカルス」に掲載された。中国新聞網が伝えた。
月の土壌の成熟度は、月表層の物質空間の風化の程度を示す物理量であり、月面での曝露時間が増えるほど高まる。月の土壌の成熟度指標の研究により、微小隕石や太陽風などの月面との相互作用を明らかにし、月の土壌の形成が経た地質プロセスを解明できる。
肖氏は、「世界的には通常、Is/FeO値(強磁性共鳴強度と酸化鉄(II)の含有量の比)が月の土壌の成熟度を判断する重要指標とされる。今回の研究では、チームと協力者は磁気学的方法を利用し、嫦娥5号の月の土壌の成熟度指標のIs/FeO値が4−20の間にあることが分かった。これは未熟な月の土壌に属しており、現在まで集められているIs/FeO値が最も低い月の土壌の一つでもある」と説明した。
肖氏は、「これは嫦娥5号任務のサンプル採取エリアの月の土壌が形成した後の宇宙環境曝露期間が最も短いことを物語っている。現在の嫦娥5号のサンプルに対する研究によると、嫦娥5号着陸エリアの玄武岩は約20億年前に噴火し、アポロ計画とルナ計画のサンプル採取エリアより少なくとも10億年若い。この極めて若いことが嫦娥5号の月の土壌が最も未熟の原因となる可能性がある」と述べた。
論文の筆頭著者で、香港大学博士研究員の銭煜奇氏は、「今回の成果は嫦娥5号の月の土壌とアポロ計画、ルナ計画の月の土壌の宇宙風化の程度を比較することで、太陽風などの月面との相互作用を研究する上で重要な意義を持つ」と説明した。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年12月12日
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