稲の含油量が11.7%になり、新技術で稲も大豆と同じく搾油が可能に

人民網日本語版 2023年11月10日15:05

中国水稲研究所水稲生物育種全国重点実験室の張健研究員のチームが9日に発表した情報によると、同チームは合成生物学の手段により稲の種子の含油量を2.3%から11.7%に増やした。これにより稲やトウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバなどの高生産量でんぷん類食糧作物の搾油原料への転用に新たな技術的アプローチと考え方をもたらした。関連研究はこのほど「植物通訊」(電子版)に掲載された。科技日報が伝えた。

論文の連絡著者である張氏は、「大豆やアブラナなどの搾油作物は通常、油脂とタンパク質を豊富に含むが生産量が少ないという特徴を持つ。例えば大豆の含油量は15−26%、タンパク質の含有量は約40%で、1ヘクタールあたりの生産量は約2トンだ。稲やジャガイモなどの食糧作物は生産量が多いが、油脂やタンパク質の含有量が低めだ。例えば稲の含油量は2−3%、タンパク質の含有量は約10%で、1ヘクタールあたりの生産量は約2トン。稲は理論上、生産量を変えないことを前提とした場合、含油量を2%から6%に上げることができれば、大豆に代わる油脂源にできる」としている。

張氏はさらに、「まず稲胚乳特異的プロモーターを利用し、シロイヌナズナ油脂合成ペース制限遺伝子の胚乳内での発現を駆動することで、種子内の油脂合成効率を高めた。次にゲノム編集技術により稲デンプンを合成する重要遺伝子をノックダウンし、デンプン合成ルートの一部を塞ぎ、炭素源を油脂合成ルートに引いた。それから稲のアリューロン層をネガティブコントロールする遺伝子をノックダウンし、油脂貯蔵組織の米のアリューロン層の厚みを増し、稲の種子による油脂の容量を拡大した。最終的に中国南方の稲生産エリアの主要栽培品種『南粳46』で、含油量の多い稲遺伝質を生み出した。その玄米の油脂の相対的な含有量は2.33%から11.72%に上がり、現在まで報告されているでんぷん類食糧作物のうち最高水準となり、大豆などの搾油作物と肩を並べた。1粒の含油量も0.5ミリグラムから1ミリグラムに増えた」としている。(編集YF)

「人民網日本語版」2023年11月10日

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