海がない内陸でどうやって「海鮮」を養殖?

 2023年09月11日15:18

内陸部にあって「海から最も遠い場所」と言われる新疆維吾爾(ウイグル)自治区で、最近海産物が豊漁だという。「内陸で海がないのに、どうやって海産物が育つの?」と疑問に思う人は多い。その答えは「海鮮魚介類の陸上養殖」モデルにある。「海鮮魚介類の陸上養殖」モデルとは、海洋に似た生態環境を陸上に作り、魚類、エビ・カニ類、貝類などの海産物を養殖することを指す。

同自治区阿克蘇(アクス)市にあるバナメイエビの養殖拠点では、すでに収穫シーズンを迎えている。同拠点の責任者の周京森さんは、「この養殖拠点には養殖池が2つあり、その面積は約1.1ヘクタールに及ぶ。水は天山山脈の雪解け水で、エビの種苗は海南省から運び、養殖方法は『海水エビの淡水養殖』を採用した」と説明する。

海水エビはどうやって淡水の環境に適応するのだろうか。周さんによると3つのステップで適応させるという。第1段階でポイントとなるのは適応用の水槽で、水槽の水を調整して海水に近い水環境を作り出す。第2段階はこれに水を加えて薄めていき、エビの種苗を養殖池に似た環境に慣れさせる。第3段階は池に移すことだ。適応用水槽の水環境を大型養殖池の水環境に近づけた後、種苗を池に移して養殖するという。

同じく海産物養殖に取り組む新疆生産建設兵団第三師紅旗農場はパミール高原東部にあるが、周囲より土地が低いところに位置しているため、周辺から塩性・アルカリ性の地下水がここに流れ込む。スタッフによると、「私たちはここの塩性・アルカリ性の水を調整して天然の海水に近い『人工海水』にし、海洋に似た環境を作り出した。9月に集中的に市場に送り出す予定の海産物約50トンは、すべて予約済みだ」という。

内蒙古(内モンゴル)自治区鄂爾多斯(オルドス)市の水産品養殖拠点も、近くバナメイエビを市場に出す予定だ。特筆すべきは、この拠点がある場所は塩性・アルカリ性土壌だということだ。塩性・アルカリ性土壌という弱みを強みへと変えるため、技術者は現地の状況を踏まえて、大型のビニールハウスを建設し、ハウス内のエビ種苗用の水を調節し、高塩・高アルカリと高標高・寒冷地という養殖にとってマイナスとなる条件の影響を克服した。(編集KS)

「人民網日本語版」2023年9月11日

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