新疆にも海水がある?砂漠に海鮮魚介類養殖拠点
「塩類・アルカリ土壌では、農業はできないが、魚介類の養殖はできる」。新疆維吾爾(ウイグル)自治区昌吉回族自治州の紅旗農場にある塩類・アルカリ土壌スマート生態海産養殖拠点は近年、燦々と降り注ぐ太陽の光や塩類・アルカリ濃度の高い水をフル活用し、特色ある水産養殖業の大々的な発展に取り組んできた。そして、砂漠に「海水養殖」施設を設置する技術の開発に成功し、一定の生産規模に達し、スケールメリットが出ている。これにより、海から遠く離れた中国の内陸地域で「海産物が手に入りにくい」という問題を解決し、高い経済効果を生み出している。
新疆時時鮮水産有限公司の蔡柱南董事長は、「新疆には海水資源がないため、稚魚を育てるのは至難の業。ここは海から遠く離れており、空気は乾燥していて、植被率が非常に低い。砂漠の近くで海産物を養殖するというのは目新しい事業だが、海水をどうやって手に入れるかが難題となっていた」と話す。
この点について、同社のチーフエンジニア・陳家珍さんは、「新疆はテチス海(古地中海)の一部だった。紅旗農場は新疆南部に位置し、土壌の塩類・アルカリ濃度が高い。地表水の水質も海水に似ている。紅旗農場特有の塩類・アルカリ土壌の特質をうまく活用し、水に微量元素やプロバイオティクスを混ぜることで、さまざまな魚介類の生長に適した人工海水を作り出している。調整を重ねた結果、養魚池の塩度の基準は海水とほぼ同じになった。養殖した魚介類は味も食感もいい」と説明する。
新疆時時鮮水産有限公司は、紅旗農場が2022年に投資誘致した重点企業で、敷地面積は約333ヘクタール。塩類・アルカリ土壌や川岸の土地を活用して、養魚池やビニールハウス養殖拠点を建設し、塩類・アルカリ濃度の高い水を人工海水に改良し、ミニ海洋システムを作り出している。そして、ハタやバナメイエビ、アワビ、イセエビなど、8種類の魚介類を養殖している。
蔡柱南董事長によると、新疆は冬の寒さが厳しいことを考慮して、ビニールハウスの温度は約25度に設定し、池に酸素を供給して、稚魚や稚エビを養殖している。そして、稚魚や稚エビの大きさや温度を見ながら、適切な時に屋外の養魚池へと移している。
現時点で、生態スマート恒温養殖拠点には、ビニールハウス4基が設置されている。各ビニールハウス内には養魚池が15面ある。また、屋外には17ヘクタールの養魚池も設置されている。今後は、ビニールハウスをさらに30基設置するほか、屋外の養殖池を200ヘクタールに拡大し、最終的に、屋内と屋外での養殖、水産加工、販売を一体化した近代化テクノロジー魚介類養殖のトータル産業チェーンを構築する計画だ。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年9月5日
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