9月から高校1年生になる孟想君は最近、山東省青島市を出発して、4日で合わせて公共バスを38回乗換え、9都市を通過して、ついに上海に到着した。使ったバス代は計153元(1元は約19.95円)で、1133キロの一人バス旅行を楽しんだ。旅行が終わり、旅行中の動画をSNSにアップしたところ、孟君は瞬く間に時の人となった。斉魯晩報が報じた。
上だけふちが黒い眼鏡をかけ、笑うと真っ黒に日焼けした顔から白い歯が見える孟君は、「僕はとても内向的な性格だけど、一人で青島から上海まで公共バスで行きたいと思った」と話す。
記者とビデオ通話する孟想君
孟君によると、「僕は子供の頃から公共バスが好き。去年、上海から北京に公共バスに乗って行った人の動画を見て、興味を持ち、ルートの計画を立てた。主にマップアプリを使って、少しずつ公共バスの路線を探した」という。
公共バスが大好きだったことで、孟君は中国各地の「公共バスファン」と知り合った。時には仲間を募って公共バスに乗り、「青島ビール祭り」に行ってボランティアをすることもある。普段から公共バスで旅行に行こうと呼びかけ合うことが多いという。
孟想君が撮影した江蘇省淮安市の台州商城近くを走るバス。
15歳の子供が一人で他の省に旅行に行くのに同意してくれる親はそれほど多くないだろう。しかし、孟君によると、両親がとても「おおらか」だったおかげで、10歳の時には一人で複数回飛行機で黒竜江省に行き、12-13歳の時には公共バスで山東省の煙台市や江蘇省連雲港に行くなど、小さい時から何度も「冒険」してきた。
孟君が初めて一人旅をしたのは10歳の時で、夏休みに、黒竜江省にある祖父母の家に行きたいと自ら切り出したという。当時はまだ10歳だったため、家族は心配したものの、熟考を重ねて、チャレンジすることに同意してくれたという。
揚州江都の日の出
孟君が無事目的地に到着した時、両親はまだ10歳だった孟君に対する見方を変えたという。そして、その後、孟君が公共バスで他の市や省に行きたいと言っても、ためらいはありつつも応援してくれるようになったという。
一人で旅行に行く理由について、孟君は「子供の頃から他の人に迷惑をかけたくないという気持ちがあった。部屋の片付けや買い物など、自分でできることもたくさんある。他の同級生が両親に送り迎えしてもらっていても、僕は自分で登下校していた」と話す。
そして、「15歳の時に入った『公共バスファン』のグループチャットでは、僕が最年少ではなかった。僕の他にも公共バスでいろんな所に行ったことのある少年がいて、彼は13歳だった」と振り返る。
上海に到着した日の夜に撮影した孟想君の自撮り写真。
孟君は、上海まで1133キロの旅の計画を立て、最終的に8月8日に出発。1日平均300-400キロ移動し、4日間、公共バスの窓から景色を眺め、普段と違った大自然の魅力も感じることができたという。
孟君は、「都市から農村へ、そして農村から都市へと移動する時の景色はとても美しかった。特に農村の空気はとてもきれいで、賑やかな都市を離れて、田畑の間のあぜ道が本当に素晴らしい眺めだった。山東省と江蘇省では、建物の設計スタイルも違っていた」と話す。
公共バスで上海まで行く途中、孟君は宿泊先や食べる物などは何も決めなかった。自分で決めたルートはとても自由度が高く、宿泊先も行き当たりばったりで決めたという。そして今月12日、ついに上海に到着した。出迎えてくれた同じく公共交通機関が大好きな青島出身の人と1日遊び、帰途に就く前に、浦東にある高層ビル群の陸家嘴で動画も撮影。「思う存分遊べた」と充実感を漂わせた。
上海に到着した翌朝に孟想君が食べた朝食。
ただ、青島へ戻る時は公共バスではなく、寝台列車を選んだ。孟君は、「9月3日は僕の16歳の誕生日。自分でも成長したと思う」と話した。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年8月26日