中国の北方地域では春節(旧正月、2022年は2月1日)になると、食卓には餃子が欠かせない。春節に餃子を食べる理由は、それが「旧年と新年が交わる」象徴であるからだ。中国の民俗的な観念では、春節を迎える大晦日の子の刻(午前0時)が、「更歳交子」と呼ばれ、「旧年と新年が交わる」時間とされている。そして、「交子」と「餃子」の中国語の発音が似ていることから、大晦日に餃子を食べて新年の到来を祝うようになった。北京市景山街道(エリア)の路地・南剪子巷には、餃子の香りを周囲に漂わせている餃子屋がある。春節を前に、人民網の取材班はこの店に足を運び、餃子を食べにやって来た人々を取材した。
伝統的な民家が建ち並ぶ細い路地の「胡同」である南剪子巷を50メートルほど入っていくと、店を開いて13年の餃子屋「源満綸餃子坊」がある。店はややわかりにくい奥まった場所にあるが、その味の良さは広く知られており、食事時になると、店は多くの食事客でにぎわいをみせる。
「春節と言えば餃子」
近くの医学大学に通っているという黄さんは、「中国人は多くの祝祭日に餃子を食べる」と話した。一年でいちばん寒さが厳しくなる「大寒の日」でも、多くの人が餃子屋に来ていた。
茹で上がったばかりのホカホカの餃子を口にして、実家で餃子を作った時のことを思い出したという黄さんは、「餃子作りは、家族の恒例行事の一つ。春節前の大晦日の日になると、子供から大人まで集まり、テレビを見たり、おしゃべりをしたりしながら、一緒に餃子を包む」と話した。
この餃子屋に来るのは2回目という女性・李さんは、家にいる親のためにお持ち帰り用の餃子を買ったといい、「家族4人で一緒に大晦日を過ごす。今は暮らしが豊かになったので、毎日がお正月みたい。私が子供の頃は、春節の時にしか餃子は食べられなかった。でも、今は食べたい時に、いつでも食べることができる」と話した。
同店のオーナーである陳さんは、「春節前の大晦日には必ず餃子を食べるというのが中国人の伝統だから、大晦日は店を閉めて、家でゆっくりする」とし、大晦日に思いを馳せつつ、「普段は僕がお客さんのために餃子を作っているけど、大晦日は家族が僕のために作ってくれるので、とても気分がいい」と嬉しそうに語った。
餃子屋というのはまるで宿場のようで、人々に足を休め、美味しいものを食べる場所を提供している。いろんな背景の人々がそこに集まり、春節が近づいた北京の胡同ではお祝いムードが高まり、中国らしい雰囲気を漂わせている。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年1月31日