東北林業大学が27日に明らかにしたところによると、同大の姜広順氏が率いる国家林業・草原局ネコ科動物研究センターの科学研究チーム、及び野生動物保護協会、世界自然保護基金、米カリフォルニア大学、黒竜江野生動物研究所など中国内外の機関の専門家が協力し、23日に学術誌「Biological Conservation」に、「北東アジアの持続可能なアムールトラのメタ個体群構築の統合・評価・呼びかけ」をテーマにした、中国のアムールトラ個体群の動向と保護のポテンシャルに関する最新の研究成果をオンライン掲載した。同成果によると、中国の東北地域にはすでに少なくとも55頭の野生のアムールトラが生息しており、そして将来的に300頭以上のアムールトラの生存を支えられるという。科技日報が伝えた。
同研究は、中国国内の野生のアムールトラの個体群の増加傾向とともに、アムールトラの生息地の空間分布構造の特徴を示した。同研究は野生のアムールトラの縄張り面積及び獲物の数の需要などに基づき、中国の現在のアムールトラ生息地景観の保護のポテンシャルを評価し、「世界の次のトラ保護の注目エリアは中国になる」と指摘した。同研究は自動カメラが記録した映像データにより、野生のアムールトラ55頭(うち幼体は20頭)を識別した。成年の個体数は2013年の7頭から18年の33頭に増加。同時に糞便サンプルの遺伝情報に基づき鑑定したアムールトラの個体数は30頭。この期間中、個体群の平均成長率は1.51%だった。中国が2000年の調査で12-16頭の野生のアムールトラを発見したのと比べると個体数が2倍に増えており、保護の成果が非常に際立っている。
同研究によると、すべての景観エリア内の有蹄類の獲物は小ぶりのノロジカが中心で、イノシシやアカシカなどアムールトラが好む大型の有蹄類が相対的に不足している。各生息エリア内の獲物全体で支えられるトラの個体群の数はそれぞれ、110頭(老爷嶺)、56頭(張広才嶺)、14頭(完達山)、31頭(小興安嶺)となっている。しかしアムールトラの獲物の好みを考えると、支えられるアムールトラの個体群の数は大幅に減少する。同研究はロシアのアムールトラ個体群の密度と成年のメスの縄張り面積を根拠に、中国国内の現在の分布エリアが310頭の野生のアムールトラの個体群の生存を支えられると評価した。現在、世界でアムールトラの生息地が激減している中、中国のアムールトラの個体群と生息地は回復の高いポテンシャルを持つ。中国は世界のトラ分布エリアで回復の将来性が最も高い国になる。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年7月28日